不妊治療-判定日(陰性)

BT7、判定日でした。採血での判定だったのですが、残念ながら陰性でした。移植後数日してから生理前に来るようなペタペタしたおりものが続いてたので、何となくダメなんだろうなと思ってはいたのですが、やはりとってもとっても悲しかったです。病院で涙を堪えるのに必死でした。この文章を書くのも正直辛いです。それでもやはり今のこの苦しさや悲しさは記録しておくべきだと思いました。

たった1つ凍結できた胚盤胞だったので、この子が私達のところに来てくれるのではないかと淡い期待を持っていたのですが、現実は厳しいものです。先生の話では、胚盤胞の見た目が正常でも、私の年齢だと1/4個は染色体のエラーがあるので、それを引き当ててしまった可能性があり、2回移植しても結果が出なければ、子宮側の検査を一式してみようとのことでした。私には移植できる卵はもうないので、また採卵からのスタートになります。採卵では、前回未熟な卵が多かったことから排卵のリスクはあるものの、最終成熟(鼻スプレー)の時間を早めること、卵の多くが3日目までで発育が停止してしまったことから、ザイモートで良好な精子を選別すること、顕微授精を行うものに関しては卵子活性化を行うことで進めていきたいとのことでした。今まで続けていたホルモンの薬はやめて、1週間以内に生理がくるので、生理3日目までに再度受診の予定です。

体外受精に進んでも100%妊娠できるわけではないし、もしかしたら一生子供を授かれないかもしれません。そう思うと不安で悲しくて、胸がいっぱいになります。私は夫と一緒にいるべきではないのかもしれないと卑屈なことすら頭に浮かんでしまいます。今は子供が欲しいという考えが先走りしすぎて、正常な判断ができていない気がします。勝手に周りと比べて焦ってしまっています。とにかく先のことは不確実で、私になんか分かるはずがないので、周りと比べず、焦らず、先のことを考えすぎずに、粛々と治療を続けていくしかないと思っています。

私は吉本ばななの「ムーンライト・シャドウ」という短編が好きで、この物語に何度も救われてきました。恋人を事故で亡くした主人公さつきが、うららという女性との出会いを経て、悲しみから立ち直っていく、そんなお話です。この話の中に、熱を出したさつきの元をうららが訪れるシーンがあります。

「風邪はね。」うららは少しまつげをふせて淡々と言った。「今がいちばんつらいんだよ。死ぬよりつらいかもね。でも、これ以上のつらさは多分ないんだよ。その人の限界は変わらないからよ。またくりかえし風邪ひいて、今と同じことがおそってくることはあるかもしんないけど、本人さえしっかりしてれば生涯ね、ない。そういう、しくみだから。そう思うと、こういうのがまたあるのかっていやんなっちゃうっていう見方もあるけど、こんなもんかっていうのもあってつらくなくなんない?」

ムーンライト・シャドウ

私はうららが言ったこの言葉が、何だか今の自分にしっくりくるなと思いました。先が見えない日々の中で、今後も辛くて悲しくて苦しくて、いっそ死んでしまいたいと思うようなことがあるはずです。でもその瞬間が1番辛く、それ以上の辛さは、ない。そんなもんなのです。そう考えるとまあこんなもんならまだ生き続けていられるな、と少し前向きにいることができる気がします。
そして辛い中にも、夫と一緒に過ごし、美味しいものを食べ、好きなアイドルをTVで見る、そんな何気ない幸せが確かにあります。辛さで心を消耗させてしまうのではなく、一握りの幸せを噛み締めて、掬い上げられるような日々を過ごしていけたらなと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?