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理系出身デザイナーが贈るイカすイカ電話のイカしかた

エイチームライフスタイルアドベントカレンダー2018の13日目は、株式会社エイチームライフスタイルのXIOLKEEが担当します。

🦑はじめに

12月も半ばのこの時期、卒業研究や論文執筆に苦しんでいる学生さんも多いのではないでしょうか?

「今やっている研究って、就職先で役に立つのかな?」
「そもそも論文とか社会に出たらもう書かないっしょ?意味あるのかな?」

そんなことを思っている学生の皆さんに、
理系大学出身のデザイナーである私が大学時代にやっていたイカ電話の研究をイカにデザインの仕事に役立てているかをお伝えします!

伝えたいこと
論文が書けることは自分の仕事の価値を証明することに役立つ!
目次
🦑 イカ電話ってなに…?
🦑 イカ電話の研究をイカにデザイン評価にイカしているか
🦑 社会人になっても研究は続く

🦑 イカ電話ってなに…?

そう、謎に思っている方は多いでしょう。

私は大学時代に体内時計の研究室に所属していて、そこで研究材料として扱っていたのがイカでした。

指導教官からバイオアートの存在を教えてもらい、
なんか面白いやん、とイカで何かできなイカと思いついたのがイカ電話です。

みなさんはイカの体の模様が変化するのはご存知でしょうか?

まずはこちらの動画をご覧ください。
https://youtu.be/G-OVrI9x8Zs?t=5

これはイカの表皮に電極を刺して音楽を流した時の様子です。
音楽に合わせてドット模様が伸縮しているのが観察できますね?

イカの表皮には色素胞と呼ばれる細胞が多数存在していて、それが伸縮することでパターンが形成されます。
パターン形成はイカ同士のコミュニケーションや、敵を威嚇するときに使われます。

この動画を参考に私はいろんな音楽をイカに聴かせていました。
すると、歌に合わせて形成するパターンの形が変わることを発見しました。

そこで私は、
イカは人間の言葉を区別できるのではなイカ……?
と考えたのです。

よし、イカ電話を作ろう!

🦑 イカ電話の研究をイカにデザイン評価にイカしているか

結論から言うと、イカ電話の研究自体はなんの役にも立ちません!笑

しかし、研究成果を論文にまとめるプロセスは、デザイナーとして他職能にデザインの価値を示すのに大いに役立ちます

私は普段の業務ではサイトのデザイン改善を行っています。
具体的には、目指したい目標や成果に向けてどこからまず手をつけるかを検討し、施策を考えて実施しています。

インハウスデザイナーとして最大の価値を発揮するには、自分の仕事がどれだけ事業に貢献しているかを証明できなければなりません

ここでは実際の研究と仕事の例を交えながら説明します。

論文執筆とデザイン評価に共通する証明のプロセスは以下の通りです。

仮説 → 実験 → 考察

想像してみましょう!

あなたはECサイトの改善を担当しているデザイナーです。
ECサイトの売り上げが伸び悩んでいるので、あなたは直感的にとある部分のデザインを修正しました。
その後売り上げが伸びたのですが、あなたはそれを自分の成果だと証明できますか?

①仮説を立てる

イカ電話の場合
イカ電話が作れるのではないかと思ったきっかけは歌に合わせて形成するパターンが異なるところになりますが、それをそのまま見せてもたまたまじゃないの?再現性はあるの?と突き返されます。
イカ電話が作れることを証明するには、イカのパターンが五十音を区別できることを示さなければなりません。
そこで、イカに五十音の音声を学習させ、ランダムな五十音を入れた時にきちんと想定通りの言葉が返って来れば、イカ電話の実現が証明できると考えました。
ECサイトの改善の場合
まずはどこに課題があるのかを探しましょう。
商品比較ページ?ショッピングカート?決済画面?
あなたは商品がカートに入った後に決済されず放置されている数字的事実に気づきました。
そこで、その商品が今何人に買われているかを表示させるとユーザーのモチベーションが高まり、購買意欲を促進させ、売り上げに貢献できるのではないかと考えました。
そしてそれは、カート利用者が購入ボタンを押した割合が増えれば証明できますね。

②実験をする

イカ電話の場合
「あ」「い」「う」…「ん」の五十音をイカに聴かせることを何度も何度も繰り返し、機械学習に通すことでイカが形成するパターンと五十音の関連性を学習させました。
その後新しく五十音を聴かせたパターンのサンプルを用意し、学習データに通してどの音に振り分けられるかを検証します。
ここで大事なのは、検証に十分なサンプルが用意されているかどうかです。
ECサイトの改善の場合
あなたはさっそく仮説を検証するためにデザインを改善し、これまでのデザインと新しいデザインで比較実験をします。
1日経ってみて改善率がなんと200%!…果たしてこれは正しい数字でしょうか?
3日経ってみると改善率が120%になりました。
再現性があることを証明するためにも、有意性のあるデータが獲得できるまで実験を継続しましょう。

③考察

イカ電話の場合
実験で得たデータを分析します。
イカ電話では、五十音全てを区別することは難しいが、母音は区別できることがわかりました。さらに絞り込んで同じ実験をした結果、「あ」「せ」「る」「ん」という音声を区別することができることがわかり、イカ電話の実現可能性を示唆することができました。
適切なデータを用意したので、確かに再現性があると認めてもらえれば晴れて卒業です。
ECサイトの改善の場合
サイト改善で見られる数字はたくさんあります。
直帰率・離脱率・滞在時間・CVR…。
今回はユーザーのモチベーションを高め、購買意欲を促進させる施策ですので、CVRが上がっているか確認しましょう。
適切な期間実験を行われた上で明らかにCVRが改善しているのであればあなたが行った施策によって売り上げが上がったと言えるでしょう。

イカがですか?
論文執筆の経験は社会人になってもとても役に立つことがイメージできたでしょうか?
論文を書けることは社会に出ると、自分の価値を証明する際にとても強みになります。
※ECサイトの改善例は、実際はもっと複雑な事象が絡み合う可能性があるのであくまで参考なまでに。

🦑 社会人になっても研究は続く

最後になりますが、研究は社会人になっても続きます。
エイチームの経営理念である「今から100年続く会社にすること」を達成するためには今までのやり方にとらわれず、絶えず新しいことにチャレンジする必要があります
その中ではまだ証明されていないことに取り組むこともあります。
それはまさに研究と一緒で、まだ自分にしか見えていない価値を証明するということです。

その時に大事なことが2つあります。

1. 自分を応援してくれる仲間を増やすこと
2. 「自分がやっていることは間違っていない」と自分自身を信じること

正直、何の役に立つかわからないイカの研究を続けるモチベーションを維持するのは最初の頃とても難しかったです。
(自分でテーマを決めておいて何ですが…笑)
しかし、それを面白いと思ってくれる指導教官や仲間がいたことで、自分の取り組みの価値を信じ、最後までやり遂げることができました。

私はエイチームで、みんながまだ言語化できてないデザインの「さらなる価値を証明する方法を模索しています。
そしてそれを応援し、一緒に考えてくれる仲間がいます。
難しい道のりですが、私も仲間も、デザインの力によってエイチームが日本を幸せにできるもっと良い会社になれることを信じています。

もし同じく、デザインの価値を証明することを志している方が読んでくれているのなら、ぜひ「スキ」をお願いします!

まとめ
・社会人になっても研究は続く
・大事なのは仲間を増やすこと
・そして自分を信じること

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ここまで読んでくださり、ありがとうございました。
この記事で少しでも新しい発見や学びがありましたらとても嬉しいです🦑

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エイチームライフスタイルアドベントカレンダー2018、明日はタカハシさんに書いてもらう予定です。お楽しみに!

エイチームグループでは、一緒に働けるチャレンジ精神旺盛な仲間を募集しています。興味を持たれた方はぜひエイチームグループ採用サイトを御覧ください。
https://www.a-tm.co.jp/recruit/

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