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[PSPP]マン-ホイットニーのU検定

マン-ホイットニーのU検定

マン-ホイットニーのU検定 (Mann-Whitney U test)は、対応のない2群のノンパラメトリック検定で、対応のないt検定に相当します。厳密に言えば、等分散が仮定されているのでステューデント(student)のt検定に相当し、等分散を仮定しないウェルチ(Welch)のt検定に相当するものとして、ブルンナー=ムンツェル検定(Brunner-Munzel Test)があります。
なお、マン-ホイットニーのU検定は順序データと量的データの両方を扱うことができます。


ウィルコクソンの順位和検定

マン-ホイットニーのU検定よりも先に発表されたウィルコクソンの順位和検定(Wilcoxon rank sum test)も実質的には同じ検定なので、マン・ホイットニー・ウィルコクソン検定とまとめて呼ばれる場合もあります。
帰無仮説は両群間に差がない、対立仮説は両群間に差があるというのは、t検定と同じです。
マン-ホイットニーのU検定は、ケースごとに相手に勝っている場合を1、同点を 0.5、負けを0で得点付けし、そのグループごとの和を求めます。その小さい方を検定値Uとします。
ウィルコクソンの順位和検定では、勝ち負けの得点の代わりに、同順位内で平均を取った平均順位を用いるところが違いますが、グループごとの和を求め、その小さい方を検定値Wとするところは同じです。
先ほど述べたように、結果としては同じになります。

ここでは、ある試験の合否結果(1が合格、2が不合格)と、それ以前のテストの偏差値の架空のデータを用いて、合否別の偏差値に差があるかどうかを見てみたいと思います。

マン-ホイットニーのU検定はPSPPでは、メニューには表示されませんが、シンタックスで直接命令すれば実行できます。

・[メニュー]→[新規作成]→[シンタックス]を選択。
・以下のシンタックスを記述。

NPAR TEST
/M-W 偏差値 by 合否(1,2).

「/N-W」は、「/MANN-WHITNEY」の省略です。勿論省略せずに書いても大丈夫です。その後に検定する従属変数を、「by」の後に独立変数を書き、半角括弧の中は、独立変数の群を書きます。
入力が終わったら、
・[実行]→[すべて]を選択。
で、スクリプトを実行します。

出力の見方

「階級」のところを見ると、合否別の人数(N)、平均順位、順位和が示されています。
この場合、合格者の方が平均順位は大きくなっており、偏差値は高いと考えることができます。
「検定統計」では、統計量として「マン・ホイットニーのU」と「ウィルコクソンのW」が示されています。後者は「階級」の順位和の小さい方と一致します。「Z」は「ウィルコクソンのW」を標準化した値です。
次の有意水準(有意確率)が、ここでは0.022となっています。有意水準が0.05以下ですから、有意となり帰無仮説は棄却されます。
分散分析などと同様に、帰無仮説は標本(群)間に差はない、対立仮説は標本(群)間に差がある、ですから、標本(群)間に差があるということになります。
なお、統計量UとWは、2群xとyのサンプルサイズがNx、Nyだった場合、

が成り立ちます。

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