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【歳時記と落語】大寒

二十四節気の24番目が「大寒」です。2021年は1月20日です。
暦の上では、まあこのあたりが寒さの底ということになります。寒稽古なんかが行われるのもこの時期ですな。

また、寒気が厳しいということはものが腐りにくいということでもあります。「寒の水」なんてことをいうて、この時期の水は味噌や醤油、酒なんかの仕込みにええとされました。「寒造り」とか「寒仕込み」といいます。

一方でこの時期は酒の蔵出しの時期でもあります。大体今の暦で12月から2月くらいですから、仕込みの時期と重なって、酒蔵は非常に忙しいんですな。

寒い時期に酒というと、「燗」ということになりますが、最近は「熱燗」としか言いませんが、酒の種類やらで、ほんまは温度を変えるのがええんで、それぞれ名前がちゃんとあるんですな。日本酒造組合中央会によると、35~40度が「人肌燗」、40~45度が「ぬる燗」、45~50度が「上燗」、50~55度が「熱燗」やそうです。普通酒から本醸造酒、純米酒、吟醸酒、大吟醸酒とランクが上がっていくにしたがって、最適の「燗」の温度が下がっていく、というのが一般的な「原則」のようです。

「熱燗」というと、「京の茶漬け」のマクラに、「京の茶漬け、高松の熱燗」という言葉が出てきます。客が帰りかけたら、京都では、帰りかけると「あの、何もおへんのどすけど、ちょっとお茶漬けでも」というのが決まり文句になっている。それが高松では「熱燗」やというんですな。飲ましてくれるんかいな、と思うて坐りなおしても酒なんぞ出てきません。「熱燗で」といぅのは「扱わんで」ということで、「お構いも出来ませんけど、ゆっくりしてください」という意味なんやそうで。米朝師匠は明治16年生まれの橘ノ円都師匠から教えてもろうたそうですが、その当時でも相当古い人しか知らなんだそうですが。

「上燗」は、そのまま「上燗屋」という噺があります。これだけでやることもあれば、「首提灯」の前半としてやられることもあります。

酔っ払った男が屋台にやってきます。
「ちょっと尋んねとかんならんねけど、『上燗』とこお書いたあるけど、こら何のこっちゃい?」
「なんでございます、お酒の燗を言うたもんでございまして、熱なしぬるなしで上燗でございます。及ばずながら燗だけにはちょっと気イ使ことりますようなこってございます」
「一杯何ぼやねん?」
「一杯十銭でございます」
「一杯十銭。よし、一杯もらおか」
飲んではぬるいといい、温めなおせば、熱いからうめろと言い出します。
さらには、こぼれた豆はなんぼや、と聞きます。
「こぼれた豆でございますのでなぁ、おちょっと、金が頂戴しにくございます」
「つまり、分かりやすぅ言ぅたらどういうこっちゃ?」
「まぁ、ザッと言うて、ただちゅうことですな」
「ただか、ただなら食てみたろ」
すると、男はホコリを払うようにして、わざと豆をこぼして、ただで食い始めます。
さらには、鰯のカラまむしのカラだけ、ただで食べるなど、さんざん無茶をします。


酔漢の無茶が聴き所ですが、「首提灯」の前半になってますのんで、サゲはありません。


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