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鳥取、島根旅行#1日目

 長期休暇中のぼくは、朝起きて、さて、これからどうしようと贅沢な悩みを抱えている。旅に出たいと思いながら、ぐずぐずして何もしないでいた。なかなか重い腰が上がらない…そんなこんなで沢木耕太郎「深夜特急」を読み始めると、こんな一節に目が止まる。

 今日一日、予定は一切なかった。せねばならぬ仕事もなければ、人に会う約束もない。すべてが自由だった。そのことは妙に手応えのない頼りなさ感じさせなくもなかったが、それ以上に、自分が縛られている何かから解き放たれていくという快感の方が強かった。今日だけでなく、これから毎日、朝起きれば、さてこれからどうしよう、と考えて決めることが出来るのだ。それだけでも旅に出てきた甲斐があるように思えた。

沢木耕太郎『深夜特急 -香港・マカオ』

 深夜特急がぼくの無意識下にあった旅への欲求を駆り立ててくれた。とにかく旅に行こう。そう心に決め、鳥取、島根の旅行プランを練り始める。植田正治の写真が好きだったぼくは、いつか鳥取砂丘に行ってみたいと思っていた。せっかく立ち上って来たこの感情を無駄にしてはならないと思い、宿を取り、新幹線のチケットを手配し、レンタカーも予約。
 そんなこんなでぼくは鳥取、島根に行くことにしたのだった。

1. 鳥取砂丘

 姫路駅行きの新幹線に乗り、朝9時に着いた。予約していた車(ガソリン代が高いのでハイブリッド車にした)を借りて、高速に乗り、2時間ほど走っていると着いた。


 気温32℃、体感温度40℃くらい。砂、砂、砂、人、人、そして、人がまばらに歩いている。頂上っぽい砂山を登った先に、日本海が広がっていた。素晴らしい景色に目を奪われ、しばらく腰を下ろしてぼーっと眺めてしまった。

2. 砂の美術館

 鳥取砂丘から戻ると、体内の水分のほとんどが蒸発してしまったのではないかと思うくらい汗をかいていた。足洗場があったので、足を洗って、自販機で水を買って、一気に飲み干す。太陽の日差しが強かったせいか、軽い熱中症気味で、頭がふらふらとする。しばらく、ベンチに座ってぼーっとする。
 それから歩いて10分くらいのところにある砂の美術館に向かった。毎年テーマを決めて、砂のアートを展示しているらしく、今年はエジプト展であった。作品の中には砂が崩れる崩れないの微妙ねライン、繊細な技術の力で保っているのもあった。会期中に崩れたのかな?と人もちらほらいた。

3. 浦富海水浴場

 夕日を見に行こうと思い、砂の美術館から30分、40分ほど車で走ると、静かな浜辺、浦富海岸に着いた。あまり人もいなく、カップル2組ほど、写真を撮ったり、浜辺を歩いていたりした。静かな波を眺めながらぼーっとする。

 薄らとした雲がかかっていた為、夕日は見れなかったが、素晴らしい海と立派な松を見ることが出来た。浦富宮島展望台に行きたかったのだが、潮が満ちて来た為、行くことができなかった。
 1日目終了。浦富海岸から皆生温泉の宿へと向かう。国道9号線、ときどき259号線を通って、日本海沿いをひた走る。途中、大きな風力発電機があり、暗闇の中を赤いライトが点滅していて、ちょっと不気味だった。

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