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BTSとJHOPEというアイドル、あと私

なんとなく、リアルのアイドルが苦手だった。

小学校高学年の頃からずっとアニメやゲームなどの、いわゆる「二次元」が好きだった私は、歌番組などで日々目にするキラキラしたアイドルが苦手で、見ているとこちらが少し恥ずかしくなってしまうような、そんな気までしてしまっていた。

私は、いわゆる二次元のオタクだった(今もそうだけど)。
ゲームや絵師さんの二次創作を楽しみ、時にはイベントなどにも参加した。
毎日様々なコンテンツを見たり、友達と騒いだり、上映会をしながらペンライトを振り回したり。

あんスタやアイマスなどのソシャゲから、ACCA、Charlotteなどのアニメ作品まで、本当に全力で楽しんでいた。

もちろん周りにはKpop好きやジャニオタの子もいたし、彼ら彼女らをかっこいいとも思った。

しかし、私が彼らを「推し」として深入りできないのにはひとつ理由があった。

この3次元、リアルに存在している彼らは、今もどこかにいて、息をしている。
アイドルだからといって、もちろん神様な訳では無いから、結婚だってするし、不倫や様々な不祥事、人間だから失敗もするし、失言もしてしまうかもしれない。
彼らにはそういった存在するが故の危うさがある、と思う。


こんな世の中だから、SNSで今まで彼らに興味関心の欠片もなかった人々が、信じられないような罵詈雑言を浴びせるかもしれない。そしてそれらは命をも奪ってしまうかもしれない。
そんなことを自分の推しがされるなんて絶対に耐えられないし、あってはならない。
そう思っていたし、今だってそう思う。

いわゆる二次元のコンテンツであれば、推しが不祥事を起こすことや解散などの心配はほとんどしなくて良いのだ。人間が描く架空のものだから、神様みたいなものだし、失言もほとんどないだろう(少し前にそういった炎上案件はあったが)。

そう思っていた私は友達からの様々なアイドルの布教をくぐりぬけ、二次元の沼にいつまでも住んでいた。この先も、リアルのアイドルに深入りはしないんだろうなあなんて、思っていた。

中学1年生の頃から仲良くしている友達が、
ある日BTSの「Dynamite」のMVを見せてくれた。

TWICEくらいしか知らなかった私は、男性グループならではのパワフルなダンスとメイクに引き寄せられた。軽快な曲調も、衣装も、セットも、そしてメンバーの表情も本当に素敵だと思った。

いつのまにか、リアルなアイドルに関しての懸念はどこかへ飛んでいき、私は彼らに夢中になってしまっていた。

だって聞いて、毎日毎秒新規絵が公開されるんだよ!!!?やばくない!?

かつては二次元の沼にいたその友人の、そんな一言が忘れられない。


今どき、沼へ落ちるのは本当に簡単だ。

YouTubeへ行けば公式の動画はもちろん、ファンの作った初心者ファン向けの説明の動画や、日本語字幕の楽しい編集のされた動画、Twitterや Instagramに行けばおしゃれで素敵なファンたちのつぶやきや解釈などでもっと彼らについて知ることができた。

無邪気に遊ぶ彼ら、お互い尊敬しあっていて、互いのペースを守りつつもメンバーへの愛情表現をしたりする彼らが心底愛しかった。無理しないでいいから、彼らなりに沢山楽しんで欲しい。
彼らも人間なんだなあと、いい意味で、心から思った。


そしてある時、ある動画を見つけた。

もともとこの「Boy With Luv」という曲が個人的に大好きだったので再生したのだと思う。それまでJHOPEへの認識は、

いつも動画ですごく楽しそうに笑う人、リアクションが大きくて面白い人、それだけだった。

しかし、この動画で本当に、大きく、その認識は変わった。

まず彼のダンスにとても引き込まれた。ダンスに関する知識がゼロな私でも、すごく、本当に、この人はダンスを愛してきた人なんだなあと感じる。表情で表現する彼に心底惚れた。曲調もあってか、とても優しい顔で、かといって踊りはゆるくなく、キレッキレに踊っている。なんだこの人……。

気づけばわたしはJHOPEに夢中になっていた。

沼から全く抜け出せない、そんな状態まできていた。

そこから本当に様々な動画を見た。彼のファンが作る彼の優しいところまとめ、彼のファンカム、MV、、、、などなど。

何この人間……希望でしかない……。

心からそう思った。

家族思いで体調を崩したお姉さんのためにそばにいてあげたり、マイペースなメンバーへ気を配ってあげたり。時にはダンスリーダーとしてキビキビと指示したり、ファンに可愛く愛嬌したり。時折見せる落ち着いた姿がかっこよかったり。

私はそんな彼に完全に骨抜きにされたのだ!!!

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もちろん先程ウダウダと挙げた心配事が消えるわけもない。

兵役だってある。そもそもこんなに多忙なスケジュールで健康でいられる方がおかしいんじゃないか、

そういった心配ばかりしてしまう。

でも、JHOPEだけではなく、彼らBTSはそんな心配まるごと消化してしまうくらいの大きな愛で、私たちファンを包んでくれていた。

綺麗事とかではない。
まあ多分客観視したら綺麗事なのかもしれないけど、それでもいいと思う。


彼らがこれだけワールドワイドなスターになった理由、もちろん色々あると思う。
しかし、こんなにウダウダ心配していた私を優しく愛で包んでくれた彼ら。

「わたし、必要とされてる!」

とまでは思わないが、もしかしたら私も、彼らを支えているひとりになれているのかもしれない。どこかでそう思えた。

余計な心配するよりも、せっかく出逢えたのだから、この瞬間をポジティブに楽しんだ方がいいのかもしれない。

そう考えられるようになった。

いまではBTS、そしてJHOPEの笑顔に、本当に支えられていると感じるし、彼らが提供してくれるコンテンツ全てが愛しく、毎日の楽しみとなっている。

正直なんでこれまでハマってこなかったんだろう、という後悔は絶えないが。。。

初めてのカムバは、布教してくれた友人の家で迎えた。楽しげなメンバーのVliveやMV解禁、暇な時間にはライブDVDを観たりした。

友人と一緒に同じものを、無邪気に楽しく応援するのは実は少し久しぶりだったのだ。

様々なアニメやソシャゲが乱立するいま、そしてSNSの影響力が本当に大きい今、穏やかに楽しめるコンテンツは少ないように感じてしまう。今年の春夏、私はあるソシャゲに夢中で、推しも世界観も、本当に本当に大好きだった。

しかし、1部のファンや、運営の対応など、あまりいい話を聞かなくなってしまうと少しずつズレが生じてしまい、いつしか心から応援できなくなってしまった。

アプリを消した。

今までに、そういう事が何度かあった。少し気にしすぎてしまうタチなのかも知れない。

だから本当に、この「BTSにハマり、JHOPEを推すようになる」という私の人生の遍歴は、ただの通り道ではないのだ。

JHOPEのポジティブで明るいエナジーを、音楽にのせて、私はそれを毎日受け取ってこの陰鬱とした2020年を乗り越えられたのかもしれない。

大学生になっても大学に行けず、慣れないオンライン授業などが続く混乱の日々から、時折逃げてもいい、大丈夫と背中を押してくれる彼らに心底、支えられていたのかもしれない。

そう思う。

当たり前が失われた今、これからこの世界はどうなってしまうのか、本当に誰にも分からない。

得体の知れないものによるこの陰鬱な世の中で、どこに希望を見い出せばいいのかも、ピンときていない。
でも、きっと、彼らの優しさと一緒なら、どうにか乗り越えて行けるような気がした。

だって、私たちは彼らと一緒なら、
永遠に若いのだから。

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追記:かっこよく終わらせたかったし、素敵な画像の後にすみません。今話題の「推し、燃ゆ」をやっと購入でき、読了しました。なんていうか、大それたことは言えないんですけど、私の恐れていることがぜんぶ凝縮したような物語で、本当に読み進めるのが辛かったです。

でも推しに抱く感情の心理描写やオタク同士のコミュニティの表現がとっても秀逸で、とても素敵でした。また別の記事で語ってみたいなあと思っています。

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