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楽園と楽園を行き来する女性(メキシコ)②

 (続く)をうっすら気にしつつ早4年。去年なぜかぽつぽつ「いいね」がついたので、今更ながら後編を書いてみようと思う。
 モーガンが初めてメキシコに来たのは16歳の夏休み。そこで50歳のメキシコ人男性に出会う。それから大学を卒業するまで毎年メキシコに通い、その男性と過ごした。「あー、だからスペイン語ペラペラなんだ。その人が教えてくれたってこと?」と私が聞くと、モーガンは「He taught me everything.」とニヤリ。あ、そーゆーことね。16歳のアメリカ人少女と50歳のメキシコ男とのprivate lessonか。なんか映画みたいだと感じてしまった。きっと少女だったモーガンは目をキラキラさせてそのメキシコ男からいろんなことを吸収していったことだろう。
 モーガンが大学生だった頃は、ドラッグカルチャー全盛期で、何でもやってみたそう。私がきのこを食べに行く前にアドバイスをくれたのはこのモーガン。「怖がらずに心を開いて向かっていけ」と言う彼女に、「そうしたらどうなるの?」と聞くと、「You’ll see.(やってみたらわかるよ)」とほほ笑んだ。もちろん帰ってきてから私がした体験について報告し、それを聞いたモーガンは「よかったね」と喜んでくれた。
 ある時ビーチに旅行して帰ってきたモーガンから食事に誘われた。なんだかうきうきしていて、話したくてうずうずしている感じ。聞けば、旅行中に8歳年下のカナダ人と出会って、恋に落ちたという。出会いについて一生懸命話すモーガンはとってもかわいらしかった。いくつになっても恋バナ最高!写真を見せてもらったり、次にどこで会うか聞いたり、2人でキャーキャー大騒ぎしながらの楽しい食事となった。
 ちなみにその時「だってさ、その前に出会いがあったのが10年前なのね。だからこういうのほんと久しぶりで、どうしていいかわかんないのよ」というモーガンの言葉を聞いて、「年取るとそんなに出会いってないもんなのか」と冷静に考えていた当時30代の私を殴ってやりたい(いや、そこじゃないから!)。

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