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そもそも補助金とは何のためにあるのか

そもそも補助金とはどういう性質のお金なのか?
行政庁や関連団体がその時々の気まぐれでお金を配っているのだろうか?
原資はほぼ税金なので、もちろんそんなはずはない。
ではなぜ、補助金という仕組みがあるのか。
電力政策を例にして解説しよう。

国が電力政策を考える時、現代社会においては、短中期的には電力需要が増えることはあっても減ることはないので、供給増を考えなければならない。
しかし原子力発電所の稼働は限定的であり、火力発電所に頼るしかない。
ところが火力発電は燃料を輸入に依存しているため、リスクコントロールが難しい。
その他の発電方法はまだ技術的に主力とはなり得ない。
電気は水のように貯めておくことができないので、出力が不安定な再エネ発電などを主力にすることはできないのだ。
天気が悪いから、風が吹かないから、電気が停まりますでは社会は大混乱になる。

供給側が増やせないなら、需要側を減らせばいい。
一つには節電を呼びかけるという方法があり、実際に行われている。
だが判断力が乏しい子供や老人は暑さを我慢して熱中症になったり、最悪、死に至るケースもある。
強く広く呼びかければ良いというものではない。
国民に対するお願い以外、国が需要減に関与することはできないのか。

そこで出てくるのが補助金だ。
冷暖房で部屋を快適に保つ際、電力を抑えるために最も重要なことは何かご存知だろうか。
そう、断熱である。
断熱がしっかりしていれば、外気の暑さ寒さが入り込まないので、少量の電力で室内の気温を維持できる。
では住宅の断熱において最大の課題は何か?
窓なのだ。

窓ガラスは断熱的に考えると穴が空いているに等しい。
薄いガラス板一枚では断熱にならないのだ。
部屋を涼しくしても、暖かくしても、窓ガラスから冷熱がどんどん逃げる。
そうすると冷暖房を強くするしかない。
この悪循環を断つには、窓を高断熱窓に変えてもらうのが効果的。
しかし、我が国は独裁国家ではないので、国民よ!窓を高断熱窓に変えろ!と指示しても効果は薄い。
そこそこお金がかかるし、直ちに困っているわけではないからだ。

ならば、高断熱窓に変えてくれたら、そのお金の一部を国が税金で補助しますよと言えばどうか?
1/2とか1/3を国が出してくれるなら、高断熱窓に変えようかな?というインセンティブが働く。
高断熱窓の普及により電力需要が下がれば、電力供給の逼迫が回避できる。
電力問題の抜本的解決にはならないが改善にはなるだろう。
国民も電気代が安くなって嬉しい。
このように何らかの政策目的を達成するために、国民や民間企業に協力してもらうインセンティブとして使われるのが補助金だ。

補助金という仕組みをよく知らない人には、東京五輪の際の電通とその関係団体のように、我々の税金をジャブジャブに使うための仕組みと捉えているかもしれない。
最近では無料PCR検査の水増しもあった。
PCR検査は無料で行われていたが、当然だが本来無料でなんてできるはずがないので、事業者に対して国が補助金を出していた。
事業者は経費全てを国が出してくれるなら、一日50人より300人来てくれたほうがたくさん請求できるから嬉しい。
だったら実際は50人しか検査していないのに、300人で実績報告すればいいと考えたのだ。
その結果、東京都だけで11事業者の合計183億円分の不正があった。

ニュースでは不正を犯した事例しか報道されないので、補助金というのはそんなのばかりと考えてしまうのは仕方がないかもしれない。
実際、僕が見ても「その補助金はおかしくない?」というものもある。
だが、本来の補助金は高断熱窓のように、行政庁も事業者(国の指定を受けた窓関連の事業者)も国民も幸せになる仕組みなのだ。

特定の事業者だけ優遇される運営費補助金や、受け取れる事業者があらかじめ決まっている出来レース補助金もある。
そういう補助金は駆逐されるべきと思うが、真っ当な補助金を真っ当に活用することには何の後ろめたさもない。
地域社会の経済的発展を支えるため正々堂々と申請し、与えられた補助金を有効に活用すればいい。
行政庁等の政策目的を達成するための手助けをしているのだし、補助金をきっかけにして事業を育てることこそ恩返しと考えてほしいのだ。

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