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SFA導入に失敗して分かった、そのワケとは

そもそもSFAってなに?

SFAとは、「Sales Force Automation」の略。日本語で「営業支援システム」とも言われ、営業活動の進捗状況や案件を管理し、営業活動を効率化するためのものです。代表的なものに米国セールスフォース・ドットコム社の「Sales Cloud」があります。

お客様と電話やメール、訪問した際のやりとりの履歴を記録するなど、多くの情報をSFAに記録することができます。

SFAって営業が楽になるの?

SFAの導入目的って「営業活動の効率化」とされますが、SFAの目的についてもう少し掘り下げて考えてみましょう。SFAを導入する際は効率的な営業活動をしたいというよりも、「営業プロセスの見える化したい」や「営業活動内容の記録を一元管理したい」といった課題が理由だというケースが多いのではないでしょうか。

「営業活動の効率化」=「営業の記録が楽になる」ではありません。たしかにExcel管理よりかはシステムに一元的に入力した方が楽になるかもしれません。しかし営業活動の情報は営業が手作業で入力するしかありません。今まできちんと営業活動を記録していなければSFA導入によって入力の手間は大きく増えてしまいます。

わたしが勤める会社では営業部門でSFA導入がうまくいきませんでした。その大きな理由のひとつがコレです。これまで営業がきちんと活動内容を記録していませんでした。ひとによってはExcelやメモ帳などで個別に記録していましたが、営業部門で統一して記録するような仕掛けもなく完全に個人任せでした。そしてSFAを導入することでこういった情報がきちんと入力されて管理されていくという幻想を営業部門の責任者や会社の上層部が抱いていたのです。

SFAに限らずどんなシステムでもそうですが、手作業でできていないことをシステム導入したからといって急にできるようにはなりません。そういう意味でSFAは営業の入力作業を楽にするシステムではなく、入力された情報を活用して営業活動をより効率的に行うためのシステムだということになります。

SFA導入に失敗する3つのワケ

実際にわたしの会社でSFA導入に失敗したケースを振り返りその理由を考えてみました。おそらく次の3点になるのではないかと考えています。

1.どんな情報を入力すべきか考察が甘い。
2.情報をきちんと入力する習慣がない。
3.営業マネジャーが活用できない。

1.どんな情報を入力すべきか考察が甘い
営業にどんな情報を項目として持たせるのかヒアリングし、そのリクエストに従って入力項目を決めてしまいました。入力された項目がどんな意味で必要なのか、入力された項目をどのように活用するのか曖昧なまま項目を設定してしまったのです。

その項目が必要な理由・意味とその活用法を定義していなかったので、だれもその説明ができません。その状態では入力された項目を実際に現場で活用できないのです。営業マネジャーと一緒にとことん項目の精査と活用法を追求しなければなりません。何となく必要そうな感じがするというだけでどんどん項目を追加していては入力する立場の営業メンバーがピンとこない項目が増大してしまいます。

2.情報をきちんと入力する習慣がない
もともと営業現場ではきちんと情報を入力する習慣がありませんでした。入力する習慣がない営業メンバーにとってSFA導入は手間にしか思えなかったことでしょう。人間だれでもメリットに思えないとアクションを起こさないものです。SFAを導入することでどのようなメリットがあるのか、営業メンバーが納得しなければ入力は進みません。

営業メンバー向けにシステムの使い方や入力方法の説明会は行いましたが、何のためにSFAを導入するのか、情報を入力する営業メンバー自身にとってどんなメリットがあるのか、納得感のないまま導入を進めてしまいました。

3.営業マネジャーが活用できない
SFAに入力された情報を営業メンバーだけでなく営業マネジャーが活用を意識しなければ導入はうまくいきません。営業メンバー自身は自分の営業活動についていちいち記録しなくても自分で覚えていられるのでSFAの意味を感じられないかもしれません。営業マネジャーは、メンバーの入力内容や入力数から営業活動をはかり、売上目標達成に対してどこがボトルネックでどうやって改善していくのかを考えなければなりません。

営業メンバーにきちんと入力するように仕向ける、入力しているかどうかを管理するのも営業マネジャーの役目です。中途半端にExcelを並行して使い続けないようにしたり、部門内のミーティングではSFAの入力情報をもとに進めたり、入力されていなければ営業活動をしていないと見なしたりする工夫が必要です。

SFA導入に失敗するのはシステムのせいじゃない

結局SFA導入に失敗するのはそのシステムが難しいからではありません。システムを導入し活用できるかどうかは活用する私たち自身にかかっているのです。システムを導入しただけで夢のように仕事がはかどったり営業がスムーズになったりするようなものは残念ながら存在しません。

SFAを導入する際には以上の導入に失敗するポイントを踏まえ、SFA導入にチャレンジしてみてください。

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