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TVR

2003年頃、スキューバにハマっていた。
3年ほどで150本近く潜っただろうか。
デジカメ、ビデオ撮影、ドライスーツでの冬のダイビング。
一気にハマって突然飽きた。
つくづく熱しやすく冷めやすい気性を実感する。

色々な仲間と潜ったが、そのうちの一人にダンディな
船乗りさんがいた。その当時で70歳手前だったか。
名前をNさんとしておこう。
現役の機関士で、年の半分以上が海の上という生活をされていた。
その年齢でも引く手あまただったので、相当な技量を
お持ちだったのだろう。

ある時、仲間数名と共にお宅にお招きいただいた。
独身貴族(バツイチ)という言葉がふさわしい室内だった。
食器や家具に至るまでこだわりを感じましたね。
隅々まで整理されてて、ある意味ショールームな感じ。

お酒は呑まないのに、お高い洋酒を飾ると言えば、
どんな人か片鱗がおわかりいただけるかな。

ある日Nさんと一緒にスキューバに行くことになった。
他に仲間3名の計5名。助手席にはNさん。
普段は自動車に乗られてるのか気になって質問したら、
今は乗ってないと言う。
今は、ということは過去に乗っていたということ。
車種をお聞きしたら『外車だけど、知らないと思うよ』と言う。
試しに言ってくださいとお願いしたら『TVRなんだけどね』と。
私が「FPRボディの4000ccオーバーのスポーツカーじゃないですか」と。
車種はサーブラウしか知らなかったが、まさにそれだった。

そこから話が盛り上がったのは言うまでもない。
なんで乗らなくなったのかというと、その当時は取り扱いのお店が、
名古屋にしかなかったらしい。点検に名古屋に向かい、帰り道に
少し強めにアクセルを踏んだらスピンして大破したらしい。
軽量化を突き詰めた車だったので、安全装置など無し。
相当なじゃじゃ馬だったのだろう。

なかなか豪快な話だった。
TVRのオーナーに巡り合えたのは、すごい収穫だった。
TVRなんて、ゲームのグランツーリスモでしか見たことなかったもんな。

身体能力も高くて筋肉質、スキューバもお上手な人でしたね。


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