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思うように撮れない街。

『ランダムに選んだ過去の写真からインスピレーションを受けた小咄、コラム、戯言などを書き留める写真で二言三言。』

以前noteに書いたこともある、私の心のふるさとでもある新宿ゴールデン街。
ちょうど20代の終わりから30代の初めにかけてのほんの2〜3年の間、毎週のようにこの街に出向いて、自分の身の回りとは異なる業種・業界の方々、世代の違う方々とのコミュニケーションでその後の自分の意識を形付けられた、忘れられないひとときがここにはある。

そんな想いが強いが故になかなかあるがままに冷静にこの街をみられないのだ。
いま思うと当時なんで写真に興味が無かったのか悔やまれるのだが、そんな時代を過ごしてから十数年経ってから私は写真に興味を抱くことになる。

興味のある被写体は路地裏や道といったモノなので、カメラ片手にお写ン歩をする先には当然のことながらこの新宿ゴールデン街もリストアップされているのだ。
本来この手の被写体としては申し分の無いほど魅力的な街である。

しかし、これまで何度もこの街を訪れて小路の所々にレンズを向けてみるも、一向にこれはベストショット!と思える写真が撮れないのである。
最初はレンズの画角がこの狭い道に合ってないのか?と超広角のレンズで次回試してみたり、広く撮らずに被写体を絞って撮るべきでは?とボケや構図を意識して撮ってみたりしたモノの、いまだに満足出来る写真が撮れない。

何度も試して無理なモノはなにか原因があるのだろうなと、振り返ったところ基本的な部分で私はまだこの街をみられていないことに気がついた。
ようは過去の想いが強すぎて、冷静にいまの目の前に見えるはずのモノが見えていないのである。

いつの日か、多少は満足出来る写真が撮れたときに私はようやくこの街から卒業できるのかもしれない。


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