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本社に出向くと必ず立ち寄った定食屋の『いちむら』。

『2014年夏から2016年夏に撮られた写真から、当時の二年間の金沢生活を振り返り、想い出を記録に定着させる写真で二言三言。』

金沢生活では日頃お手頃な定食やら海鮮モノと恵まれた食生活を送ってはいたが、都内のガッツリ系の食べ物が恋しくなることもあり。
近くにいるといつでも喰えると、なかなか食べる機会も訪れない物だが、離れてみると結構意識的に訪問する機会が増えたりもするモノで。

そんなお店の一つが本社が鎮座坐している豊洲の名店『いちむら』である。
そもそもわたしは入社早々の1992年から豊洲には縁があり、当時の豊洲にはまだ石川島播磨の船舶ドッグもあったりと、今のタワマンが林立する豊洲とは想像が出来ないほどに荒々しい港湾労働者の街でもあったのだ。

そんなところに何を狂ったか虎ノ門から本社を移すというPJに拘わってしまったせいで、ビルの建築現場に日参するようなことになってしまったのだ。
当時の豊洲には労働者目当ての定食屋があちこちにあり、そんな中の一つが『いちむら』であった。

その後、本社ビルも竣工し豊洲再開発が本格化していくにつれて一つ一つ昔ながらの定食屋の建物は取り壊されていき、最後まで残って港湾労働者に変わって豊洲を闊歩するようになったサラリーマンの胃袋を握って離さなかった『いちむら』の名物が写真にあるメンチかつ定食である。

ひき肉に玉ねぎが入った中身はハンバーグと同じもので、その上に粗めのパン粉をまぶしてラードで揚げられたメンチカツにデミグラスソースがかけられている。町中の定食屋のメンチカツにしてはなんとも贅沢な造りなのは、いちむら自体がそもそも肉屋であるからである。

金沢から本社詣での際には必ず立ち寄ったこの『いちむら』も、新しいビルに建て替えになり、新店舗では最初のウチはランチ営業もやっていたが、いつの間にかランチはやらずに夜の居酒屋営業のみになってしまった……

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