廃神社と遊び場と姉弟。
『ランダムに選んだ過去の写真からインスピレーションを受けた小咄、コラム、戯言などを書き留める写真で二言三言。』
実家の目の前には大きな公園があり、近所の友だちとはこの公園で遊ぶことがほとんどだった。
別の町内に遠征すると、公園がないところでは神社やお寺の境内がボクたちの遊び場だった。
隣の町内には裏山に廃神社があり、だれも参拝に来るようなところではないので、ほどよい境内はボクらが自由に鬼ごっこやかくれんぼ、陣取りと大人に邪魔されずに遊びほうけられる場所だった。
夏のある日、ちょっと奇妙な経験をするまでは……。
いつものように隣の町内に遠征して廃神社で夕暮れ時まで遊び、鳥居をくぐろうとした時に、
『またね。』
一緒に遊んでいた友だちはみな先に階段を降りており、ボクが最後だったのにボクの後ろから女の子の声がしたのだ。
以来、廃神社の本殿に腰掛けた同い年くらいの女の子と弟と思われる男の子が境内で遊ぶボクたちをジッと見ているという夢を夏の間何度も何度も同じ夢を見続けたのだ。
現実とオカルトの境目も解らない小学校中学年だったボクが友だちに話すと、その友だちもまったく同じ夢を見続けているという。
以来、ボクらはその廃神社の境内で遊ぶのをやめた。
お盆が過ぎ、夏休みも終わり二学期が始まる頃にはその姉弟が夢に現れることはなくなった。
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