見出し画像

青緑の鉄橋。

『ランダムに選んだ過去の写真からインスピレーションを受けた小咄、コラム、戯言などを書き留める写真で二言三言。』

以前もここでふれた記憶があるが、海無し県で生まれ育った私にとって、川と橋というモノは特別な存在である。
川は海がない分、なにより『水』の存在を実感出来るモノであるし、川はいずれ海に繋がるモノである。
『橋』はこちらとあちらを繋ぐ回廊でもある。その間に横たわる流れる水。妄想癖の強かった若かりし頃の私にとって、川の橋がもたらすモチーフは無限でもあった。

この写真は敬愛する写真家田中長徳氏のチョートクブラぱち塾!の『深川や芭蕉を富士に預け行く』の回で両国界隈を徘徊したときのモノである。
場所は小名木川にかかる萬年橋。

関東大震災後の復興計画で木橋から現在の鉄橋に建て替えられたそうだが、この青緑の鉄橋を見ると、どうもおセンチになってしまう。
というのも、中学時代の通学と高校時代の塾と計6年間わたしは足利市を流れる渡良瀬川に架かる中橋を渡っていたからだ。
その中橋が萬年橋と同じく青緑の鉄橋で、ガッシリとした趣もまさに同じような設計の橋なのである。

青緑の橋を見ると以前のクラスメートをワイワイしながら橋を渡ったり、思いを馳せていた娘との思い出が蘇り、初老の今になっても当時を思い起こしてしまうのである。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?