ニコワンを楽しむ;1 NIKKOR VR 10-30mm f/3.5-5.6 PD-ZOOMの分解・修理
おつかれさまです.
これまで1 Nikkorは,10mmと18.5mmの単焦点レンズをオーバーホールしてきたが,今回は標準ズームレンズとなる.1 Nikkor には,標準ズームレンズが3本もあるのだが,これは最も後発のレンズで,パワードライブズーム機構と,前面に電動レンズバリアーがあるのが特徴だ.レンズの構成も贅沢で7群9枚だが,EDレンズが1枚,非球面レンズが4枚も使われていて,写りも良いらしい.
現状把握
例によってジャンク品を送料込み2千円以下で入手した.送られてきたものは,全面のレンズバリアが全開のままの状態である.レンズを装着してカメラの電源を入れると,レンズは一瞬引っ込んでバリアが閉じるのだが,前に伸びようとしてひっかかり,正常位置にまで伸びない.絞りは全閉で,「レンズエラー」のメッセージが表示される有様である.
手前にぶつけた跡があり,リングが変形しています.
もしやと思い,レンズの先端付近をよく見ると,どうも当たった跡があり,鏡筒が微妙に変形しているのが見てとれた.ネットの情報によると,このレンズは容易に鏡筒が変形し,それが原因でレンズが伸び縮みできない不具合がよくあるようだ.試しに,ハンドパワー(笑)で矯正しながら電源スイッチを入れると正常動作した.どうやら,鏡筒の変形を修正してあげれば問題が解決できそうである.
分解と修理
さっそく分解していく.プラスチックマウントを固定している,3個のネジを外す.金属マウントと違って,固く締めつけてないので,簡単にネジを回せた.
フレキシブル基板のコネクタは,破損しやすいので慎重に外します.
次に作業しやすいように,接点と接続しているフレキシブル基板を,コネクタから外す.コネクタのレバーを持ち上げるとロックが外れるので,慎重に基板を引き抜く.
次は,銀色の2本のネジを外し,鏡筒を引き抜く.
レンズマウントが外れました.びっしり中身が詰まってます.
最後に,鏡筒の側面にあるネジ3つを外すと,目的のズームリングが外れる.
赤でマーキングされた銀色のネジを外します.
外したリングは,ぶつけた位置がかなり内側に変形していて修復は難しかった.やむなく内側に出っ張った部分をヤスリで削り,剥がれた塗装は黒マジックで着色した.
外したズームリングをなるべく真円になるように,力を加えて整えた.ズームリングはアルミニウムでできていて,道具を使うまでもなく,容易に変形する.鏡筒にセットして,ひっかりがなくなるまで,何度か修正した.
あとは,元通りに組み立てれば,修理完了である.
電源を何度か入れ直すと,正常動作するようになりました.
まとめ
今回の修理も原因がはっきりしているので,比較的簡単だった.しかし,同じニコンでも,マニュアルフォーカス時代のレンズでは,ぶつけてフィルターリングがぐしゃぐしゃに潰れていても,写りにはまったく影響なしといった感じなのに対し,1 Nikkorでは少しぶつけただけで,機能不全に陥るのはいかがなものかと思う.
ともあれ,レンズが使えるようになったのは嬉しい.Nikon1 V1に装着すると,レンズバリアがあるのでカメラを取り出してすぐ撮影でき,まるでコンデジのような使い勝手である.このところ外出の際には,このレンズを付けたNikon 1 V1を持ち歩いているのだが,さてどんな写りを見せてくれるだろうか.
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