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ニコンの激安中古レンズを復活させる(その10)Ai Zoom Nikkor 35-70mm F3.5

おつかれさまです.

今回は,マニュアルフォーカスのズームレンズ,Ai Zoom Nikkor 35-70mm F3.5だ.以前,このレンズの後継となるAi AF Zoom Nikkor 35-70mm F2.8Sのオーバーホールに挑んだが,レンズのくもりの問題を解決できずに中途半端になってしまった.今回のレンズはオートフォーカスでもないし,明るさもF3.5で若干暗いが,その分小さいレンズだ.ただ小さいといってもフィルター径は72mmあるし,重量も500g以上あってずっしり重たい.ネット情報を見ると,報道カメラマンなどの間でよく使われたレンズらしく,作りがしっかりしていて堅牢なレンズのようだ.復活させれば普段使いのレンズとして活躍してくれるだろう.

現状把握

このレンズも,送料込み2千円未満で入手できたのだが,一目見てかなり状態が悪い.外装は汚れやキズが目立つし,フォーカシングリングはグリス切れでスカスカ,ズームリングは固着して動かない.ただし光学系はカビがあるだけでキズなどはなく,クリーニングできれば問題なさそうだ.

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かなり酷い状態ですね

フロント側からのアプローチ

まずは,フォーカシングリングのラバーの位置をずらし.側面にある3つのビスを外す.すると,フロントのフィルターリングが銘板ごと引き抜くことができる.私の個体は.ここが固着していて苦労したが,アセトンを使ってなんとか外せた.これでフォーカシングリングとズームリングのラバーが外せるので,2個とも中性洗剤とブラシで汚れを落とした.

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この小さいビス3個を外します.

さらに,最前列の対物レンズを固定している遮光リングを回して外す.続いて,レンズサッカーでレンズを外す.

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虫眼鏡みたいな大きなレンズです.

次に無限遠を決めるストッパーを外す.画像3

ここのストッパーをマイナスドライバーで外します.

そうすると,フォーカシングリングを左に回して,ヘリコイドを外すことができる.まず鏡筒が外れ,さらに回すと前玉ユニットが外れる.外れる位置は必ずマーキングしておく.

次に中玉ユニットを外したいのだが,ここは難関である.まず.アセトンで接続部の接着剤を柔らかくする.次にカニ目レンチで回すのだが,私が所有しているカニ目レンチでは,足が太くて中玉ユニットの鏡筒に干渉し,引っかける丸穴にまで到達できない.仕方がないので,カニ目レンチのほうをヤスリで削った.

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先端付近を削って細くしました.

これで,やっと中玉ユニットを外すことができた.あとは中玉ユニットを分解していくと,中のレンズを取り出すことができた.ここで,レンズを次々にクリーニングして,逆の手順で組み立てればひとまず終了である.その際に,ヘリコイドのグリスアップも行った.

ズームリングの固着は,分解していく途中であっさり回るようになった.ちょっとスムースさに欠けるが,問題はないようだ.

マウント側からのアプローチ

まず,マウントの側面にある小さなビス3個を外し,黒い遮光パーツを外す.次に5つのビスを外してマウントを外すのだが,例によって非常に堅く締められている.まずアセトンでペイントロックを柔らかくし,浸透潤滑剤を使った.しばらく時間を置き,ドライバーの先端にネジ外し剤を塗布してドライバーを回した.ネジをなめそうになるも,なんとか全てのビスが無事に外れた.

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後玉ユニットが露出しました.

これで,後玉ユニットにアクセスできる.アセトンで接着剤を柔らかくし,ゴム手袋をして回して外すことができた.さらにカニ目レンチを使って絞り羽根に最も近いレンズも外すことができた.レンズをクリーニングして組み立てれば完了である.

まとめ

このレンズは,さすがに当時の高級レンズだけあって,作りがしっかりしている印象である.半面,分解自体は特に難しくはなかった.レンズ自体も,曇りはまったくなく,カビもきれいに落とせた.今回のレンズはほぼすべてのレンズにカビがあったので,どんどん分解して再び組み立てたのだが,そのためにチリは以前よりも多くなってしまったのが残念である.もっと慎重にクリーニングして組み立てるべきだった.

ズームリングを回すと前玉が鏡筒の中で前後するのだが,鏡筒自体は伸び縮みしないので扱いやすい.絞りリング,ズームリング,フォーカシングリングと3つのリングがあるので操作が複雑だが,手に持った際の操作性が良くて気に入ってしまった.さて写りはどうだろうか?

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Nikon D300, F5.6, SS1/3000, ISO200; 35mm端で撮影

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Nikon D300, F5.6, SS1/3000, ISO200;70mm端で撮影

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