腕がふたつあってよかった

夜になって、電気を消して。
小さい布団と、中くらいの布団を、すこしずつ寄せる。

右手で0歳のおなかを。
左手で5歳の背中をとんとんたたく。

5歳はもっと小さいとき、なかなか布団で寝てくれなくてね。
抱っこしてゆらゆらして、歌を歌って。
何度もくりかえしたあとに、そーっとおろして。
そんなのを、毎日。

そんな子も今では、自分でお布団に寝転がれるようになった。

0歳は今のところ、お布団で寝てくれている。
ぐずるときは抱き上げるけど、なんとひとりで寝てくれることもある。すごい。

今後はわかんない。よく寝てくれるといいんだけど。

そんなふたりを、右と左において。
とんとん、とんとん。

背中をなでて、頭をなでて、おやすみなさいってささやく。

今日は、5歳の方が早かったね。
明日はどっちが先かな。

ふたつの腕で、ひとりずつを寝かしつける。

わたし、腕がふたつあってよかったな。

おしまいっ