【本編 ep2】離婚の原因は理想の男を演じてしまったこと(後編)

※前編を読んでいない方は先に読んでみてください。

就職先の内定者懇親会で出会った元嫁。
入社前の研修で何度か顔を合わせて、終わったらみんなで飲みにいく。
そうしているうちにだんだんと人となりがわかってきた。

元嫁のことはまた別で書くとして、
ざっくりいえば、ちょっと変わった子。

とびきり変ではないけど、どこか常識が通用しない。
マイペースがすぎて周りが見え無くなることもしばしば。
可愛らしいし、憎めない、友達としては楽しいけど、
彼女にしたら苦労が絶えなそうだし、異性として好きになるのとはちょっと違うかも。

私を含む同期内での印象はこんな感じだった。

ここで私の求道者としての悪癖が顔を覗かせる。
『俺なら大丈夫だ』

ここまでくれば、あとは今までのクソみたいな経験値が仕事をする。

周囲に話すと引かれるような元嫁の言動も、
全てを受け入れる懐の深い男(を演じた私)が包み込む。

社会人になり、
元々子どもが好きだった私は自然と結婚を意識するようになる。

学生時代のクソみたいな経験値は、
まるで呪いのように自分すらも錯覚させていた。

結婚し、子どもが産まれ、順風満帆な毎日を過ごしていた。(ように思っていた)
周囲からは仲の良い夫婦だとか、理想の家族だとか、イクメンだと言われた。
良き夫、良き父親は不倫なんてしない。
異性への興味はなくなり、ひたすら子どもや家族のことを考えていた。

毎日が充実していたし、楽しかったし、幸せだった。
だからこそ、気づかなかった。
私の奥底には呪いのドス黒い炎が燻っていることに。

気づけばだんだんと喧嘩が増えてきた。
きっかけはこれまで何度もあったようなこと。
その度に『しょうがないな』と許容してきた。
それがだんだんと受け止めきれなくなっていた。

他にいろんなことが重なり、
ある日、張りつめていたものが切れた。

そこからはあっという間だった。

ある日、どうにも我慢ならないことが起き、
仕事から帰った姿のまま家を出た。
(詳細は特殊すぎるので、機会があれば有料か何かで)

命よりも大切に思っていた子どものことは、その時だけは頭になかった。
よく、子どもの幸せを考えてとかいうが、
そうじゃない。
私は自分の辛さから逃げた。
ただ楽になりたくて家を出た。

こうして振り返ると、
相手の理想を演じてるつもりが、自分の気持ちを偽って、少しずつ追い詰められていたのだとわかる。
離婚の理由は別にあるが、
根本の原因は自分にあったのだと今は思う。

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