【本編 ep6】子どものことは考えるのも考えないのも辛い

家を出て、ネットカフェを拠点に別居が始まった。
そして迎えた初めての休日。
時間があることで離婚について本格的に考え始めた。

『離婚 後悔』『離婚 子ども』『子ども 片親』など、
思い付くキーワードを検索していく。

後悔は『金』と『子ども』の話題が中心。
『金』に関しては大体が女性目線の話だ。
もっと慰謝料取っておけば
元夫が養育費を払わない
そんな話題の端々に元夫への不平不満が散りばめられていた。

世の中の離婚の大半が男性側有責の離婚なのかと思うほど、ネット上では女性擁護の内容が多く感じた。
ただ私は、世の中の他の人がどうかよりも、
今の自分に役立つ情報が欲しかった。

不貞行為など有責となるようなことはしていない。
夫婦間のことだから全く悪くないということはないにしても、慰謝料を請求される覚えはない。

そんなことよりも子どものことが知りたかった。
私自身は両親が揃ったいわゆる普通の家庭で育った。
周りにも両親が離婚しているという話は聞いたことがなかった。
だから片親で育った子どもがどんな人生を送るのかわからなかった。

お金のことは心配はない。
何もわかっていないながらも
養育費は払うつもりだったし、
何より元嫁の実家は裕福だ。

困るどころか、一般家庭よりもいい暮らしができることはわかっていた。

それよりも心に与える影響や、いじめにあったりしないか などが心配だった。

子どものことを考え始めると、
ここで初めて『離婚をしない』という選択肢が頭をよぎった。
世の中にはそうして幸せな家庭を全力で演じている人もいるのだろう。

そんなことを考えている。
子どものことを考えていたら寂しさが込み上げてきて、スマホにある子どもの写真を探す。
産まれた日から順番に見ていると、
気づいたら涙が流れていた。
自分が泣いていることに気付き、慌てて堪えようとした。

子どものことを考えるのは一旦辞めよう。
そう思った瞬間、子どもが何処か遠くに行ってしまうような気がした。
もう二度と会えないような気がした。


休日のカフェでスーツ姿の男が肩を震わせて泣いている。
周りの人はどれほど驚いただろう。

ただ、当時の私には自分がどう見えているか考える余裕さえなかった。

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