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高層階とゴキ

また、夏だねえ…。
電気代もあがるんだよね? でも日中は、クーラーなしでなんか過ごせないよな。

タワマンってほどの高さではないが、10階を超える高層階に住んでいる。
高層階だったら夏場でも窓と玄関をあけて風を通せるだろう…と期待していたが、どうやら蚊はエレベーターに乗って上へあがってくるらしく、ときどき夜中のあの羽音で起こされてしまう。夜中の羽音に関しては今年はまだなのだけど、つい数日前に両手で一匹だけ仕留めた。まだ吸血される前で事なきを得た。


高層階にはゴキブリは(ほぼ)出ない


一番ありがたいのはこれだ。いや、ほんと。これに尽きる。

アパート暮らしのときには、やや小ぶりなチャバネGによく遭遇した。記事にヤツの写真を載せることは自重するが…それほど強い圧を感じさせない姿をしている。とはいえゴキブリはゴキブリ。見つけたら成敗するしかない。

ひとりの部屋に戻って灯りをつけたら、玄関先でGとにらめっこ。
息を呑み、体感で数秒ほど(実測ではおそらく1秒あるかないかだろう)の睨み合い。そのときのGというのはなぜか微動だにしない。
息をひそめて部屋に入ってキンチョールを手にする。可能な限り至近まで寄って、一気に薬剤噴射。それまでにヤツが逃げ始めたなら、後追いで薬剤噴射。

目の前で力尽きてくれたらいいのだけど、しばしばヨタヨタしながら家具や冷蔵庫などの隙間に入り込んでいってしまう。しばらく待っておれば、またヨタヨタと現れるのでそこを新聞紙で始末すればいいだけのこと。現れなかったら、家具を少し動かしてみればいい。そこで絶命しているはずだ。

チャバネGに関しては、わりと大丈夫なほうだと思う。
ただ、クロGとなれば話は変わる。ヤツは黒々として大きい。
大きさもさることながら、見るからにオイリーで実に強い圧をともなっている。

かつて住んでいた実家マンションのゴキ

生理的にきついかもしれない描写が含まれます ^^; 
苦手な方は読まずに、飛ばしてそのまま次章へ行ってください


住んでいたのは4階だったけれど、ふつうにクロGがいた。

ずいぶんいろんなことを教わった。ヤツが飛ぶところもばっちり目にしたことがあるし、小学生のころだったと思うがヤツが靴の中にはいっていて、知らずにその靴を履いてしまったことがある。あのときの感触はもうトラウマ級だ。

現れるのは主に居間かキッチンだが、子供部屋に置かれていた百科事典の本とビニールカバーの間のすきまに産卵されていたこともあった。薄いけれど1cmぐらいはある硬い殻。私の記憶のなかでは楕円状ってふうだったが、画像検索してみるともう少し長方形に近いみたい。卵鞘(らんしょう)っていうんだそうな。それがカプセルの役割をしていて、中には10個ぐらいの卵がおさまっているという。

成年した貫禄あるお姿。実家を離れるまでは年に2〜3度ほど欠かさずに見ていたけれど、さすがに馴れることはできなかった。

いわゆる毒親だった母親だけど、ゴキとはちゃんと戦ってくれたはずだ。
父親にいたっては素手一発で床を叩き、ヤツをバラバラにしてくれた。彼も毒親だったが、ゴキをあれほどにも平然と成敗してくれたときは頼もしく感じたはずだ。とはいえバラバラにしてくれとまでは…。

引っ越す前が1階だったので、たぶんそのまま連れてきてしまったのだろう。何せ百科事典の隙間に産卵しでかすぐらいの頭脳派だ(ゴキの脳がどのぐらいの知能を備えているのかは知らない)。

私はけっこう頻繁に引っ越している


大学時代、新入生に場をゆずるために寮を追い出されたあとはアパート暮らし。さらに新卒で会社社員寮(個室)に住み、退職したあとは、転職するたびに3つほどアパートの低い階ばかりの部屋を転々とした。家内と娘を籍に入れたあと、ようやく現在住んでいる高層中古マンションの高層階に落ち着いた。中古だからまもなくローンは完済する。現在の経済状態は目も当てられない状態(しばしば記事でもカミングアウトしている)だけれど、せめてもの救いは娘たちがすでに子育てと教育の期間を終えて独り立ちしていること。それとローン完済があとわずかってことだ。

もう20年ぐらいになるわけだが…自宅でゴキブリを見たことはほぼ無い。
とはいえ、しばしばエントランスでは見かける。下階のほうにはけっこう立派なヤツが生息しているらしい。チャバネではない。立派なクロGのほうだ。

自宅でヤツを見たのはたった一度だけだ。

〝その時〟は前触れもなくやってきた


まだ私が貧乏人になってしまう前。
現役のワーカホリックとしてばりばりと働いていたころの話だ。

仕事帰り。玄関先に立つと、換気扇がまわっている音がかすかに聞こえた。おそらく家内が台所で調理中ではないかと思い、ドアホンを鳴らさずに鍵で開けて入ったのだが…玄関を開けると、家内がこちらを見据えて仁王立ちしていた。
殺されるのかと思った。

いや、嫁さんが殺そうとしていたのは私ではなかった。

家内の強ばった表情を伺う。ジェスチャーで右のほうをみろと。
そーっと見てみると…壁の私の身長より高い位置に、そりゃもう見事なGさまが微動だにせず張りついていた。キンチョールは玄関先には見当たらない。
こうなったらもう仕方ない。意を決した私は、玄関先の新聞紙を静かに手にとって棒状に丸めた。息をひそめそっと歩み寄って…腕を高くのばしてそこで一撃。

「いや〜〜〜っ!!!」

すっかり私より逞しくなっていた家内が、似つかわしくない悲鳴をあげる。
見当たらないと思っていたキンチョールを家内が手にしていたのを見つけるや、歩み寄ってそれを受け取る。ゴキから離れるかのように、今度は家内が玄関先へと逃れている。

私がさらにキンチョール攻撃を喰らわすと、ゴキは踵を返した。そっちはいま家内が逃れていったほうだ。

「いやああああああああああっ!!!!」

家内の声のトーンがいっそう上がった。近所に110番されるぞおいw 。

ゴキは家内のほうに向かって突進しかけたのだが、力尽きたのか壁から落下した。そこからしばし姿を見失ってしまった。というか…ふだん逞しい家内の狼狽ぶりがおもしろすぎた。いや、すまない。

すぐさま玄関先の雑貨が入ったカゴの中に、瀕死のゴキを発見。
もう暴れることはない。新聞紙の中に包みとって、上からぎゅーっと押しつぶすことに成功した。成仏してくれ。

あれからもう10年近く経っているよな


一匹見かけたら何十匹…なんていうけれど、幸いにして私の家のなかでゴキブリを見たのはこれが最後。つまり10年近くは見ていない。住みはじめてからもこれ一度きりだ。まずはほっとしている。

でも夏になると、エントランスで見かけることは相変わらずだ。
今年はまだ見ていない。ほどなくそのシーズンがまたやってくるだろう。

夏になればいろいろ出てくる。先日は鮮やかな緑色をしたカメムシがエレベータ前に張り付いているのを見たし、真夏にはセミが爆弾のようにのたうち回る場面にもお目にかかることだろう。カメムシって自分のくささで死ぬらしい(笑)。

近所の水田をトンボが飛んでいるのも見かけた。
6月ももう下旬だ。エアコンも本格始動している。
相変わらずマスクして外に出てるけど、また…夏がくるんだねえ。

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