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【1972年レコード】38)JACKIE LOMAX : THREE


なかなかの威圧感…毛穴くっきり

■データ

・リリース : 1972/
・レーベル : ワーナー・ブラザーズ
・プロデュース : ジョン・サイモン
・チャート : N/A
・スタジオ : ベアーズ・ビル・サウンド・スタジオ
・所有ver : BS2591

■トラック・リスト

[SIDE-1]
1. ノー・リーズン
2. タイム・ウィル・テル・ユー
3. ヘル・ファイアー・ナイト・クライアー
4. ロスト
5. ロール・オン
6. ラヴェンダー・ドリーム

[SIDE-2]
7. レット・ザ・プレイ・ビギン
8. フィーヴァース・ガット・ミー・バーニン
9. ラスト・タイム・ホーム
10. ロック・ソルト
11. ドゥ・イット・オール・ユアセルフ

■メンバー

・ジャッキー・ローマックス(ボーカル/ギター/ベース)
・ジョン・サイモン(プロデューサー/ドラム/ピアノ/キーボード)
・リック・ダンコ(ベース)
・リヴォン・ヘルム(ドラムス)
・ジョン・ホール(ギター/スティール・ギター)
・ビリー・リッチ(ベース)
・ビリー・マンディ(タンバリン)
・ND スマート(ドラム)
・バーナード・パーディ(ドラムス)
・トレバー・ローレンス(テナー・サックス/アルト・フルート)
・マーティ・グレブ(オルガン)
・ブリン・ハワース(スライドギター/マンドリン・エレクトリック12弦)
・イスラエル・ザクト(ギター)
・ハワード・ジョンソン(チューバ、バリトン・サックス)
・マービン・スタム(トランペット)
・ブルース・ローランド(ドラムス)
・アール・マッキンタイア(バストロンボーン)
・ジェリー・ドッジオン(テナー・サックス/アルト・フルート)
・JD Parent( テナーサックス/アルトフルート/クラリネット)
・セシル・ブリッジウォーター(トランペット)
・マエレサ・A・スチュワート(バック・ボーカル)
・ヒルダ・ハリス(バック・ボーカル)
・トニ・ワイン( バック・ボーカル)

■LINK

Discogs
Wikipedia


■メモ

  • 実は一番聴いているかもしれないレコード。リバプール出身のシンガーソングライター、ジャッキー・ローマックス3枚目のアルバム

  • タイトル「Three」は三枚目のソロを意味している

  • 地元リバプールで「アンダーテイカーズ」として活動し、飛躍を求めて渡米し「ロマックス・アライアンス」などで活動。ビートルズのマネージャー、ブライアン・エプスタインによって帰英するが、エプスタインの急死によりビートルズのアップル・レコードに所属する。

  • ビートルズではジョージ・ハリソンがプロデュースを担当する。ジョンを除くビートルズのメンバー(ジョージ、ポール、リンゴ)、加えてエリック・クラプトン、ニッキー・ホプキンスレオン・ラッセルビリー・プレストンという錚々たるメンバーをバックにレコーディングを行う。

  • 豪華メンバーをバックにジョージが「ホワイト・アルバム」から落とした曲「サワー・ミルク・シー」をシングルでリリースするがヒットはせず。楽曲は非常に高評価ではあるのだが、何せアップルレコードではビートルズがいる。その陰に隠れてしまった感は否めない。

  • そしてビートルズが解散。夢と希望のアップルレコードが大混乱に陥り、所属のアーティストも方々へ散り、ローマックスは再び渡米する。

  • アメリカではウッド・ストックに居住した事で人脈を広げ、ドクター・ジョン、アレン・トゥーサンらニュー・オーリンズ勢やザ・バンドと近しい関係を築く。”ザ・バンド6人目のメンバー”、ジョン・サイモンをプロデューサーに前作に続き本作をリリース。本作3曲目の「ヘル・ファイアー・ナイト・クライアー」ではザ・バンドのリズムコンビ、リック・ダンコとリヴォン・ヘルムが参加‥するがいずれも商業的には成功とは程遠い結果に終わる。

  • どうやっても鳴かず飛ばずの状況に再び英国に帰るが、それ以降もローマックスの才能が結実する事は無かった。

  • 英国のミュージシャンであるが、本作はそれをあまり感じさせず、バックコーラス隊を効かせて全体的にソウルフルでファンキーな仕上がり。「ノー・リーズン」「ヘル・ファイアー・ナイト・クライアー」「フィーヴァース・ガット・ミー・バーニン」「ドゥ・イット・オール・ユアセルフ」など名曲揃いでどの曲も素晴らしい。特にB面の楽曲がどれも良い。

  • 歌声、楽曲、演奏(メンバー)含めてどれも良い、評論家の評価も高い、なのに商業的な成功と言えない不思議な作品。その分これまでで最も情報量が少なく、リリース日すらも特定できない。

  • 敢えて言えば、良い意味でも悪い意味でも、けれんみの無い作品ではある。上述の名曲達もヒットして良さそうなものだが、何となくヒットしないのも分かる気がする。同郷で似たタイプのアルバート・ハモンドも同年に「It Never Rains In Southern California」を出して大ヒットしてる訳で、個人的にはアルバート・ハモンドよりジャッキー・ローマックスの方が圧倒的に好みではあるのだけど、まぁアチラはかなりポップス寄りというかど真ん中を狙っていった感はあるかも知れない。

  • あとは、ちょっとジャケットの顔‥デカすぎない?ってのは多少あるかも。部屋に飾るの避けたいなと思ってみたり。

  • 流石にこれだけ「1972…1972…」とレコードを漁っていると時代の特徴みたいなものが何となく分かるようになって来て、1972年頃の特徴として表紙面に顔アップというのがあるように思う。T.REX、ジャクソン・ブラウン、よしだたくろう、ソニー・ロリンズ、アレン・トゥーサン、ポール・サイモン、ジョニー・ナッシュ、リンダ・ロンシュタットなどなど。これはアルバム・ジャケットに見開きの文化が出て来た事で、ヴィジュアル的な工夫の仕方が変わったかも知れない。

  • 才能+地の縁(リヴァプール、ウッドストック)、人の縁(ビートルズ、ザ・バンド、ニューオリンズ勢)と充分なアドバンテージを持っていながら成功を収められなかったのは、圧倒的に「時の縁」と縁遠かったからと思う。これまた1972年という何とも言えない過渡期に巻き込まれてしまった不運‥と言えるのかもしれない。

楽しそう。けどどことなく寂しい(く見える)

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