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ツンデレ⭐カサブランカ

昨晩23時過ぎに仕事が終わり訪れたBAR。
ここは2回目なんだけど、前回オールドパル(カクテルね)を作らせたら、凄く美味しかったので再訪。

オールドパルはドライマンハッタンにカンパリ加えた程度の酒なんだけど、マイナーなのでバーテンさんも知らなかったりする。
いきなり作らせるので、バーテンさんによって味はバラバラだし、ステアなのにシェイクしだす人もいる。
まぁそれは別にどちらでもって感じだが、内容からしてシェイクする意味はあまり感じられない。

さて本題。
BARはちょい混みで、俺はプリム6cmのハットを被っていたのでひっそりと入口の席に座る。
そこそこ大きなプリムだと他のお客さんが邪魔に感じるかも知れない。
照明が切れているらしく一際暗い席だ。
だが、俺ぐらい独り飲みのプロになると全く問題ない。
写真のカサブランカと二酸化炭素濃度計で充分遊べるのだ。

入店した時は620.0だった二酸化炭素濃度計、まぁ仮に「ニノ」と呼ぼうか。
ニノは二酸化炭素濃度計というのは昔の話。
今はカサブランカの感情に反応して数値化するようになっている(という設定‥)。

俺がタバコに火を点けるとニノの数値は620から640まで上昇。
カサブランカはタバコが嫌いらしい。
バーテンが「すみません、順番でお作りします」と言い、俺はカサブランカを眺める事にした。
今にも咲きそうな白い蕾の鋭利な尖端が俺に向いている。
「いっそこの場でパーン!と花開いて種やら何やらブチまけられたら面白いのに」と想像すると、ニノは645から618へ数値を下げて見せた。
「俺がスベったみたいに‥」とカサブランカを睨む。
戯れに息をフッとかけると数値は670まで急上昇!
完全に嫌われている。
ややあって、見れば大きな花びら達の上に緑の蕾が3つある。
「このコ達も花を咲かせるまで待って欲しいな」と思う。
居酒屋に飾ってある花などは、花屋さんが定期的に取り換えに来るもので、このカサブランカも蕾が緑なのがアクセントになっており、咲いてしまっては作品にならないから撤去‥というのも充分有り得る話だ。
コロナ禍で飲食店は閉まり、花屋さんも大変だったと思えば交換のサイクルが早まっているやも知れない。

等と考えているとニノの数値は急上昇。一気に700を越えてカサブランカの狼狽ぶりが如実に見て取れた。
「あー!待って!!分かんないから!ちょっと聞いてみるから、何なら花咲くまで待ってとお願いするから落ち着いて!!」と慌ててカサブランカをなだめた。
俺は息を止めて、二酸化炭素を出さないようにすらした。

そこへバーテンが「お待たせしました」とオールドパルを持ってきた。
すかさず「このユリ、上の方にある緑の蕾は咲くまで置いておくの?」と聞けば、バーテンは「はい、ちゃんと全部咲くまで待ちますよ。立派なカサブランカですから」と応えた。
「そうですか、それは良かった」と安堵してオールドパルを飲んだ。
前回より香り抑え目で甘みと深味がある。
カンパリの苦味も柔らかくなり、女性でも美味しく飲めそうだ。
ふとニノを見ると、カサブランカも安堵したのか数値は620まで戻っていた。

それからバーテンさんとラムや葉巻について会話をして、1時間ほど経っただろうか。
ニノは578まで低下していた。
時刻は1:30。カサブランカもどうやら眠たくなって来たようだ。
「お前も眠くなるのか?」と聞けば、フン!とばかりに数値は635まで急上昇した。
トイレへ行き、戻って来ると数値は548。完全に睡眠モードだな(笑)
間もなく2:00になるので俺も帰る事にした。
バーテンへチェックをお願いして身支度しながらニノを見ると700まで数値は上昇していた。
別れを惜しんでいるのかと思う。
まったく、ツンデレなカサブランカもいたものだ。

帰宅して娘に話すと「え~っと‥私は何を聞かされてるのかな?ww」と笑われる。

※数値含め全て実話です。

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