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そもそも「リトルプレス」って何? いちおしマガジンも一挙紹介(※全文無料※)

こんにちは、WYP編集部のべっくやです。

WYPは「リトルプレス」を名乗っていますが、そもそも「リトルプレス」って何? と思う方も多いのではないでしょうか。

近しいことばに「インディペンデント・マガジン」「ZINE」などがありますが、それぞれどう違うの?も微妙なところ。今日はその辺りを紹介していきたいと思います。

後半は、私たちが参考にしている&愛読しているリトルプレスを紹介します!


リトルプレス、ZINE、インディペンデント・マガジン

「リトルプレス」は、少部数で発行する自主制作の出版物と定義されています。ここでいう“少部数”は出版物によってさまざまですが、肌感覚では1,000〜3,000部くらいが多いのではないかと思います。(ちなみにWYPは各号1,000部ずつ発行しています)

体裁はいわゆる商業出版誌に近く、リトルプレスを扱う大型書店(蔦屋書店など)や、個人経営の独立系書店で販売しています。取次を通さずに書店との直接取引で販売する団体が多いため、大手チェーンの書店にはあまり置いていません。

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それに対し「ZINE」はもう少しライトなイメージ。明確な定義はありませんが、ページ数は数十ページ〜、値段も数百円と手軽に制作・入手できるものが主流です。少部数をコピーしてホチキスで閉じたような簡易的なものも。アメリカのストリートカルチャーから生まれたスタイルだそうで、デザインやアートに寄ったファッショナブルなものが多いのはその名残でしょうか。

大規模なZINE販売イベントとして知られる『MOUNT ZINE』や、アート出版に特化した『TOKYO ART BOOK FAIR』では、多種多様なZINEが並んでおり、眺めているだけで楽しいです。

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また、時折聞かれる「インディペンデント・マガジン」ということばはどうでしょうか。直訳すると「独立系雑誌」となりますが、私たちは「特定の雑誌を中心として団体が成り立っている(独立している)もの」と定義しています。

昔からあるものだと『MONOCLE』、ポートランド発の人気誌『KINFOLK』、日本では『TRANSIT』や『Spectator』などでしょうか。また、広告収入に依存しない“独立”の意味では、『暮しの手帖』が日本のインディペンデント・マガジンの先駆けと言えそうです。


というわけで、それぞれのことばにあまり明確な区分けはない……というのが正直なところです。「“コンビニや書店の雑誌コーナーにどどんと並んでいる雑誌”とは違うもの」くらいに捉えていただけるといいのかな、と思います。


このインディペンデント・マガジンがアツい!

最近ではリトルプレスやZINEを扱う書店・イベントも増え、さまざまな自主制作物を目にする機会も多くなりました。それに伴い、クオリティもひたすら上がり続けています。

ここでは、私たちが雑誌をつくるときに参考にしているものや、個人的に愛読しているものを紹介していきたいと思います。

MAGAZINE B

1号1ブランドを取り上げる、韓国発のカルチャー誌。デザインのおしゃれさはもちろん、取り上げるトピックの旬度が絶妙で、「ああ、それは読みたい……!」と思うものばかり。これまでの特集は「FREITAG」「ACE HOTEL」「MUJI」などなど。最新号は「MOLESKINE」特集です。表紙いいなあ……。

髪とアタシたたみかた

三崎の夫婦出版社「アタシ社」が発行する雑誌。ヘアカタログのような一般的な美容雑誌とは一線を画す“美容文芸誌”「髪とアタシ」は、毎号テーマのチョイスがTHE センスの塊。昨年創刊したばかりの「たたみかた」は、“私の主張の根源を探る”というふわっとしたテーマでありながら、中身はとっても骨太な雑誌です。どちらもめちゃめちゃ読み応えアリ!です!

IN/SECTS

最近いたるところで見かける、関西発のリトルプレス。テーマの掘り下げ方や取り上げる場所・人、寄稿の人選など、「ありそうでなかった」ユニークな視点が、つくる側としてもすごく参考になります。持ち歩きやすいサイズなのもいい感じ。WYPももうちょっと小さくしようかなあ……。

歩きながら考える

2004年から続くリトルプレス、通称「アルカン」。最近、別冊の「酔いながら考える」も出たそうです。クオリティはものすごく高いのですが、あんまり力まずに読める感じが好きです。そして毎号キャッチコピーがおしゃれすぎ……。「混沌を知って、私たちは少しだけ野生にかえる」とか、めちゃめちゃかっこいい……。

Union

(画像出典:https://store.tsite.jp/item-detail/magazine/11277.html
海外の雑誌?と見紛うビジュアルで、日本発と知ったときは驚きでした。雑誌というより写真集のような大胆なレイアウトで、とにかくおしゃれ・お洒落・オシャレ……!日英併記です。

knock

言わずと知れた有名マガジン。世界各地を訪れ、そこに暮らすアーティストたちのインタビューを誌面に収めています。取材だけでなく、編集・発行まで現地に住みながら行うというスタイルも素敵。旅情をかきたてる写真が超好みです。現在、次号の取材中だそうで、とっても楽しみ。

仕事文脈

タバブックス社がつくっている雑誌なので、厳密にいうとリトルプレス、インディペンデント・マガジンの定義からはちょっと外れますが……。働き方をテーマにしていながらも、暑苦しくないのがすごくいいなあと思います。“働き方”を取り上げたものって、どうしても「キラキラ!活躍!」的になりがちなので、『仕事文脈』のこのテンションは希少。コンパクトでデザインもシンプル、とっても読みやすいです。

CURIOSITY

世界を放浪しながら各国のクリエイターにインタビューを行い、それを1冊にまとめた雑誌。すごいのは、当時24歳の編集長・山木さんがほぼ1人で、アポなし突撃取材をベースにつくりあげた雑誌だということ。なんとリサ・ラーソンにもインタビューしています。リトルプレスならではの荒削りな勢いが魅力です。まだ読めていないのですが、昨年2号目が出たそうです。

Spectator

もはやここで紹介するまでもないという感じですが、やっぱり好きです。テーマへの“執着”と読んでもいいくらいのこだわりは、まさにプロフェッショナリズム……。どこかアングラな雰囲気が漂うのもたまりません。ここまで分厚い雑誌もそうそうないので、手に取るときはいつもワクワクします。


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さて、色々と紹介してきましたが、紙媒体をつくりたい!と思ったときは、商業誌・リトルプレス問わず、とにかくいろんな雑誌を読み比べてみることをオススメします。

たとえば「このページは『knock』のあの号っぽく」「このコラムは『Spectator』っぽいイメージ」など、雰囲気を説明できる共通言語を持っていると、後々とっても便利です。(複数人で制作する場合は特に)

それでは、今日はこの辺で◎

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