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制作全プロセス&所要時間を一挙紹介! WYPができるまで(※全文無料※)

どうも、WYP編集部の鈴木です。

今回は、WYPの制作を具体的にどんなプロセスで進めたか、について書いてみます。

雑誌をつくろう!と決めたものの、最初はどんなプロセスでつくればいいかさっぱりだったので、「編集の教科書」のような本を読んだり、知り合いの雑誌編集者に教えを請いながら、まさに手探り状態で進めていました。

さて、WYPの場合は、工程別にざっくり分けて下記のような流れでつくりました。※カッコ内はおおよその所要時間です。

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1. テーマ決め(3ヶ月)

ここが一番重要なので、じっくり時間をかけてメンバーでアイデアを出し合いながら決めていきます。創刊号(Vol.0 India)の時は、全員インドについて浅い知識しかなかったので、関連書籍を読んだりインドに詳しい人に話を聞きに行ったりしていました。

2. 制作スケジュール、台割作り(1ヶ月)

「台割」というのは、印刷物のページ数及びどのページに何を入れるかをまとめた表です。これを作ると、雑誌のイメージがだんだん湧いてきます。

3. 収益の計算(2と同時並行)

印刷費が確定した後に再検討しますが、この段階でおおよその原価(主に印刷費)、印刷冊数や希望販売価格などをまとめた収益計算書を作っておきます。

4. 取材対象者の選定(1ヶ月)

5. 取材対象者へのアポ取り(1ヶ月)

ある意味一番大変な作業です。知り合いの知り合いに取材を申し込む、という場合もありましたが、ほとんどは全く繋がりがない人への取材申し込みです。特に創刊号の時は、何の実績もない私たちの取材を受けてもらえるか自信がなかったのですが、真剣に説明して依頼すると意外とOKしてもらえました。

6. 現地取材(10日)

取材する国を訪れて、実際にインタビューを行います。大変ですが毎回とても楽しいです。

7. 記事執筆(3ヶ月)

取材が終わったら、メンバー1人あたり2〜3個の記事を執筆します。できた記事をお互いに批評し合って(時には褒め、時にはバッサリ面白くないと言われながら)ブラッシュアップさせていきます。

8. 翻訳(2ヶ月)

WYPは、創刊号から特集記事は日本語・英語表記にしているため、完成した日本語記事をもとに英語に翻訳していきます。制作費に余裕がないので、自分たちで全文英訳した後、知り合いの英語ができる帰国子女やネイティブにチェック・修正してもらいます。

9. デザイン(4ヶ月/7と同時並行)

各担当が作った記事とデザインのラフ(手書き)をもとに、デザイナーにいい感じにデザインしてもらいます。上がってきたデザインを見て、「ここはもう少し写真を多めに」「このページはもっとインパクトのある色使いをしたい」など、何度もフィードバック&話し合いをしながらデザインをブラッシュアップさせていきます。

10. 印刷会社を決める(9と同時並行)

印刷会社によって印刷機の仕様が異なるため、ページ数や紙質、インク数によって値段が変わってきます。数社に見積をもらったり各社の担当の方と話したりして、どの印刷会社にするか決めます。次のステップの販売価格と並行して検討を進め、「○○円に収めたいがどういう仕様が良いか」と相談をしたりもします。

11. 販売価格を決める(10と同時並行)

印刷費が決まったらおおよその原価が確定するので、損益計算書を作ります。いくらで売って何冊売れたら利益が出るのか、他誌の価格はどうか、自分ならいくらなら買うか、などなど考えながら、小売価格や書店への卸価格を決めます。ここで甘く見積もってしまうと、後々苦労することに……。

12. 印刷会社へデータ入稿(1週間)

デザインデータを印刷会社へ送ります。ここまで来ると、いよいよ完成が見えてきます。印刷物は一度印刷してしまうと二度と変更できません。内心どこかミスがないかドキドキです。

13. 文字校正(1週間)

校正には文字校正と色校正の2種類あります。文字校正は、安価な紙に暫定的に印刷したものをメンバー全員で誤字脱字、記事内の言い回しのチェックや、デザインの微調整をします。不思議なことに、何度チェックして修正しても、無限ループのように次から次に修正が発生してきます。

14.色校正(13と同時並行)

色校正は、本番用と同じ紙で試し刷りしたもので色味を確認します。デザイナーと一緒に、「このページの赤はもう少し淡く」などの微調整を、印刷会社の方に相談します。ただし、色校正はかなり高額です。WYPの場合は全ページではなく気になるページだけお願いしています。

15. 印刷→雑誌完成!

校正を印刷会社に戻してから10日ほどで、印刷が完了します。WYPは創刊号から1000冊印刷していたので、大量の雑誌が家に運ばれて来た時は、興奮とともに「うわ、めっちゃ多い、これ全部売れるかな…」というリアルな心配も芽生えてきたの覚えています。

16. 書店営業

どの地域のどんな書店に置きたいか、何店舗での販売を目指すか、などをメンバーで話し合い、書店営業リストを作ります。そのあとは各書店の担当者を決め、手分けして電話・メール・訪問営業。もちろん書店さんの意向などによって取り扱ってもらえないケースも多いのですが、断られ続けるとけっこう精神的ダメージが大きいです……(笑)

17. 出荷、販売

取り扱いをOKしてくれた書店さんや、Webサイトからオーダーしてくれた方に、黙々と手作業で出荷していきます。取材に応じてくれた方や、編集アドバイスをくれた方など、制作時にお世話になった方々への献本作業も同時に進めます。


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以上、おおよそこんなプロセスでWYPは完成しました!

こうして書いてみるとシンプルなプロセスですが、完成までには毎号ものすごいエネルギーを要求されます。実際、創刊号の『Vol.0 India』は完成までに2年、3冊目は『Vol.1 Denmark』は3年かかっています。(が、これは正直かかりすぎです……)

次回以降は、工程ごとにもう少し掘り下げて説明したいと思います。

ではまた!

>>WYPは国内外の書店のほか、公式サイトからも購入いただけます。

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