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オマハシステムの諸外国の文献について

ウィルクラウドではオマハシステムを搭載していますが、日本に文献も少なくまだ皆さんにあまり馴染みがないと思います。

オマハシステムを使った論文数は近年増え続けている

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しかし、Pubmedで「OMAHA-system 」をキーワードにSummaryを抽出し年ごとのカウントを行うと以上のグラフのように年を追うごとに文献数が増えていることが分かります。2016年からは毎年二桁が続いており、2020年現在でもすでに8本が公開されています。多くの国で在宅ケアや地域ケア、移行ケアへの関心が高まっていることが背景にあるのでしょうか。オマハシステムを利用することが開発から50年近く経った今さらに着目がされています。なお、日本からの文献は近年では見当たりませんでした。

どんな論文がどれくらいあるの?それを分析した論文

諸外国ではどのような文献があるのか、Journal of the American Medical Informatics Associationに投稿された、2004年〜2011年のオマハシステムに関する系統的レビューをした文献(The Omaha System: a systematic review of the recent literature,J Am Med Inform Assoc. 2014 Jan; 21(1): 163–170. )から引用してご紹介したいと思います。なお、かいつまんでご紹介するので、研究の限界や方法論の質検証などは原著をご確認ください。

多様な集団の健康結果につながる臨床プロセスの理解が進む可能性がある

このレビューの「おわりに」からの引用では以下が述べられ、オマハシステムの可能性が示唆されています

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2004−2011の文献の系統的レビューの要約

オマハシステム(以下OS)は、米国看護協会が認めた最も古い標準化された用語の一つであり、医療サービスの影響を記述し測定するものです。オマハ訪問看護協会(VNA)の実務者によって1970年代初頭に在宅ケアサービスの文書化と管理のためのシステムとして開発されたのが最初で、妥当性は数十年の間に着実に増加してきました。現在では、米国のみならず国際的にも広く医療分野や環境に適用されています。

この論文の目的は、以下でした。

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結果

OSに関する56の出版物が同定され分析されていました。レビューされた研究の方法論の質は比較的高かく、年を追うごとに出版物の焦点は、クライアントの問題を記述するものから、アウトカム研究へとシフトしていき、5つの主要なカテゴリーに分けることができました

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年々、クライアントのアウトカムを分析した論文や、高度な分類研究を行った論文が増加していました。一方で、臨床プロセスの分析やクライアントの問題点の分析に焦点を当てた論文は、この集計期間中は低いまたは減ったままでした。


その他は、例えば、OS データの解析にデータマイニング技術を適用した最初の研究は 2008 年に発表されていることがわかりました。また国際的な著者による研究(N=9、論文数の 17%)が大幅に増加していました。さらに、異なる環境での電子記録の相互運用性に焦点を当てた研究が 4 件ありました。

結論

オマハシステム(OS)は、複雑な医療サービスに関する有意義で質の高い情報を提供する可能性が高いことがわかりました。今後は、医療教育への適用性、理論的裏付け、国際的な妥当性に焦点を当てるべきだとされています。

(キーワード 看護情報学、トピックとしての用語、データマイニング、オマハシステム、看護分類)

The Omaha System: a systematic review of the recent literature,J Am Med Inform Assoc. 2014 Jan; 21(1): 163–170. 

オマハシステムに期待すること

この系統的レビューの期間は2004−2011年ですが、冒頭のカウントグラフにある通り2010年代は論文数がさらに増えています。2011年以降の系統的レビューもいずれ投稿されると思いますが、近年の国際カンファレンスに参加すると、「ICUなどの急性期治療期」での検証や、「看護学生への基礎教育」への適応、「外来看護」でのアウトカム測定、「民間保険会社がOSを使った支払いスクリーニング」などの発表が出てきているため、この10年で幅広い文献が増えているのではないかなと推測します。また、各国での電子カルテの利用もより広がっていますので、相互運用からたくさんのエビデンスも構築されていることが期待されます。

日本でも、技術の急速な進歩に伴い臨床データの保存および分析を目的として現場では電子カルテにますます依存しています。医学ではDPCも普及し現場の治療プロセスやアウトカムを集約する体制が整ってきていますが、看護学においては我々の看護ケアプロセスやアウトカムを日常的に集めて現場のナース達が日々有効に活用するような状況には至っていません。

先進諸国が取り組むのは、「完全に治る」ことは難しい、慢性疾患や障害、難病、ターミナル疾患などと付き合いながらも、当たり前にハッピーに健康に過ごしていく社会ですが、そこに最も寄与できるのが看護ケアだと思いますし、在宅領域はそのど真ん中だと思います。エビデンスベースドプラクティスとは、より良い看護ケアは何か?看護とは何をすることなのか?を目の前のデータを蓄積しながら創り上げることですから、在宅ケアにおいて最も古く最も広く使用されているものの一つであるオマハシステムは、それを実現する期待ができます。

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