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キリスト教について

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「キリスト教理解」の理解について
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2020年11月の記事一覧

トンビと鼠とキリスト

  著名な児童文学作家で、谷真介がある。相当な数の作品を発表しているが、彼の仕事のひとつに「キリシタン童話昔ばなし」がある。おそらく、その仕事の集大成、または基礎となった著作が、新版『キリシタン伝説百話』(新泉社、2012年)である。  控え目にいっても珠玉にして出色、最高峰のキリシタン文学短編集だと思う。本書が収録するのは、日本土着の民話とキリシタン伝承の融合した諸伝説である。一話毎に感想を綴りたいほどに美しい。誤解を恐れずにいえば、これこそ、日本語で書かれた福音書と言っ

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聖書を聖書によって読むこと

 「ユダヤ教の聖書の読み方ーー詩篇とヨブの祈りーー」という、約4万字に及ぶ論考がある。出版は11月。幸いにも先日、この論考を事前に読む機会を得た。というか、編集者に渡す前の段階で校正した。執筆者は、ユダヤ文献学・ヘブライ思想の専門家・手島勲矢。ヘブライ大学、ハーバード大学を経由したユダヤ文献学の碩学である。ぼくにとっては3人目のヘブライ語の恩師だ。  この手島先生の論考が素晴らしかった。具体的な内容については、論考の出版に譲りたい。しかし、あまりにも素晴らしかったので、ご本

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