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用意された美味

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“これは、食卓に用意されている美味を味わうだけのお話。” 飲食店にて女ひとりで食事するだけの短編小説です。
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#ひつまぶし

あつた辨天、ひつまぶし(用意された美味 #2)

あつた辨天、ひつまぶし(用意された美味 #2)

これは、食卓に用意されている美味を味わうだけのお話。

立てかけてあったメニューに書かれていた「焼の確かさ」とは何だろう。
それは、鰻を噛んで、すぐにわかった。表面に香ばしい焼き目を持ちながら、身が甘く柔らかい。これが確かな焼、そして焼の確かさなのだろうと。
焼き目の食感と身の食感が合わさってとても心地が良く、そこに伴う身の甘みは「用意された美味」だった。誰もがこれを味わ

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