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累積による賞罰

とりわけ初めて就職してからしばらく、集団の中でどう振舞ったらよいかわかりませんでした。何割かは後に判明する発達障害の特性の問題があり、何割かは職場環境とのミスマッチであり、何割かは私(=深草)個人の努力不足や勘違いもあったかのように思っています。

多くの人は学校に通っている段階で明確に把握していることなのかもしれませんが、例えば同じ行為をしても或る人は大いに褒められ、別の人はやって当然だという顔をされる人があります。また、行為がよくないことであれば或る人は大いに怒られたり制裁を受けるけれど、別の人はちょっとたしなめられたり注意を受けるだけで済むなんてこともあります。

言挙げするまでもなく読ませるまでも無い当然の話なのかもしれませんが、これらの違いは要するに日頃の行いによって出てくるものです。

(前提 premise)日頃の行いが好ましい
⇒(帰結 consequence)罰が軽く賞が重い
(前提 premise)日頃の行いが良くない
⇒(帰結 consequence)罰が重く賞が軽い

もちろん賞罰に日頃の行いポイントが加算または乗算されるのは賞罰だけではなく、ちょっとした軽口や冗談が許されたりウケるかどうか(おそらく親しい身内とみなされているかどうか)にも関わってきます。例えば昔いた会社で私の同期が軽口を叩いて先輩のウケを取っていたのをみて、私も似た軽口を言ってみたら「突然何を言っているんだ???」と訝(いぶか)しまれたことをよく覚えています。

日頃の行いは日頃の行いを変更することによって貯めることができます。ショートカットの道も色々とあるのでしょうが、私の場合はポイント消費が激しいためなかなかそれもできませんでした。

日頃の行いポイントを貯めるのに難しいことは職場の性格によって行いとポイントの交換比率が異なるところです。生産工場のような職場では職場環境を整理整頓(いわゆる5Sと呼ばれるようなこと)することが周囲の方の士気や作業効率を高め、喜ばれます。一方、オフィスワークとなるとそれほどでもなく(というのはそれらは出入りの業者さんの仕事だとみなされていたりするからです)、上長や取引先への反応速度の方が多くのポイントを集めることができるかもしれません。

しかしそれにしても「日頃の行い」はポイントに準(なぞら)えられるとは言っても、実際にポイントで測定されているわけではないし、日頃の行いのすべてが見える化されているわけではないのでそれも込みで上長や同僚から評価されるのは何とも不合理なものです。「日頃の行い」によってどんなイメージが形成されるかはその人の初見のルックスなどとの兼ね合いもあるでしょうし、個人としては実に理不尽なものかもしれません。それでも我々は生きるために自分なりの自分自身の「良いイメージ」を形成して他人に提示していかなければ、他人からの基礎的な信用を得ることが難しい社会に生きています。

(1,209字, 2023.09.10)

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