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FC岐阜 大ピンチ

【ゴールの裏側】
 第9節・富山戦、同点弾につながるラストプレーにはどんなストーリーがあったのか。田口裕也と石田峻真に話を聞いた。

【ストーリー】
4分と表示されたアディショナルタイムも終わろうとしていた。第9節・富山戦。FC岐阜は90+2分に先制点を許し、無敗記録が「6」で途絶える寸前にまで迫っていた。
 
相手の選手交代で時計が進んだ90+5分。敵陣の右サイドからのスローイン。石田峻真が叩きつけるような速いボールを投げ込んだ。
 
「時間がないのも見えていたし、(田口)裕也はターンが上手いのは分かっていたので、ちょっと強めにボールを出して。あいつうまいんですよ、誘うの」(石田)
 
石田からのスローインを受けた田口は、とっさにその速いボールの意味を考えた。
 
「もう時間がなかったので、ペナルティエリア内に侵入していけば何かが起こると思った。峻真くんのスローインもメッセージのあるボールで、ふんわりだったら落としてクロスかなと思ったんですけど、地面にたたきつけるようなスローンだったので、これはターンができるんだなと。多分メッセージだと思うんですけど、それを感じ取れたのは良かったなと思います」(田口)
 
ボールを受けた田口はターンしてペナルティエリア内に侵入。3人に囲まれたものの、相手に倒されてPKを獲得した。
 
「粟飯原(尚平)もいたので、ちょっと迷ったんですけど、裕也がめっちゃ欲しそうな顔してたんで、それで裕也に出した感じです。めちゃめちゃ欲しがっていました(笑)。もちろんイメージ通り、裕也ならやってくれると思っていました」(石田)
 
「峻真くんとは本当に毎日一緒で、ご飯も一緒に行ってくれるし、すごく面倒を見てもらっています。その前(PK獲得前)のクロスに入り切れなかったので、それは本当に申し訳ないと思っていて」(田口)
 
まさに以心伝心。ボールの強弱だけでメッセージは伝わった。それによりPKを獲得したが、それだけでは得点にはならない。PKスポットにボールを置いたのは、倒された田口だった。
 
「キッカーは決まっていなかったですけど、自分の取ったPKですし、自分以外が蹴るという選択肢は、僕の中ではなかったですね。誰がボールを持っていても自分が蹴ろうと思っていました」(田口)
 
土壇場の勝点「1」が掛かったPK。田口に掛かるプレッシャーは相当なものだっただろう。しかし右足を思いきり振り抜いた田口。ボールはゴールネット左に突き刺さった。
 
「方向は蹴る直前に決めました。本当に緊張してたんですけど、サポーターのいる方向に蹴れたことで、すごく力になりました。サポーターのみなさんも一緒に緊張してくれていたと思います。本当は勝点「3」につながるPKなら良かったんですけどね、最低限のPKを決めることができて良かったですし、サポーターと一緒に喜べたことが良かったです」(田口)
 
あわや敗戦の大ピンチを、劇的な形で引き分けに持ち込んだ。もちろんすんなり勝てれば一番良いが、この「0」→「1」への変換が大きな意味を持つように、今後の試合も勝ちにこだわりたい。
 
「僕が肌で感じているのは、本当に各ポジションの競争が去年以上に激しくて、本当に調子がいい選手だけが使われていく感じなので、僕も危機感を持っていますし、どのポジションでも誰が出ても良いパフォーマンスが出せている。それは今のチームの強みだと思います」(田口)
 
第10節は14日(日)、ホーム岐阜メモリアルセンター長良川競技場で、テゲバジャーロ宮崎を迎えて行われる。

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