銀行員時代の思い出と「わるい」おかねー会社が買われる時ー

「どうしようもなかったんだけどね。。。」

こんばんわ。読んでいただきありがとうございます。今回は銀行員時代の苦い記憶を綴ります。

私が担当していたのはある地方の大きな病院グループで、総合病院やクリニックをいくつも買収し、どんどん成長し続けていました。私が担当し始めたのはそんな段階でした。

そんな中、ある地方の総合病院の理事長が後継者不足と赤字のダブルパンチで病院を売りたいと考えているという話が入ってきました。

私の担当していた会社に情報を持ちかけたところ、二つ返事で買収したいということになり、どんどん買収話が進んでいきました。

私にとっての初めてのM&A案件だったので、とにかく自分のできることをこなすことに精一杯だったのですが、一つ気になっていることがありました。というのも、私が担当していた病院は病院の再建は何度も成し遂げていて、経営手腕はあると思うのですが、とにかくコスト意識が徹底しているのに加え軍隊みたいな社風だったので(それはいいことですが)、買収された後の病院の人たちと社風が合うのかということでした。私は買われる側の会社のことは担当していないので全然社風等が分かりませんでした。

そんな懸念も差しはさむ余裕もないまま、案件は成立し無事買収は完了しました。私にとって銀行員時代に一番「儲かった」案件でした。

「買収された」といっても前の理事長先生は辞められずに一医師として残って仕事を続けられていました。買収が完了した後でもいろいろと手続きが残っていたので、その理事長先生にその後病院はどうですか、と水を向けると、、、、

「いやぁ、みんなギスギスしてるよ。」

とぽつり。案の定、新しい経営陣になって仕事のやり方が全然変わり、キーとなる役職には外部から人が送り込まれてきたり、そして何より給与体系も変わった(端的に言えば悪くなった)ので、会社全体がギスギスしているとのことです。

今の時代、何でも口コミが調べられるのでネットで「〇〇病院 クチコミ」と調べると、職員の方の不満が山のように出てきました。

「新しい経営陣に変わって一人当たり担当する病床数が増えて、全然仕事が回らなくなりました。」

「前はみんなで助け合う、アットホームな雰囲気だったのに急に殺伐とした雰囲気になりました。」

「雰囲気が変わって働きづらくなったので、辞めました。

全部これ、俺のやった仕事の結果なんだ。。。。

恐くなりました。。。

自分を弁護するようですが、いづれにせよその病院のテコ入れは不可避な状態になっていたので、いつかは他の病院の傘下に入っていたと思います。

理事長先生も何度も自分で立て直しをされようとしたようですが、年齢や自分ひとりではもうどうにもできないという結論にいたり、病院を売却に至られています。

       「どうしようもなかったんだけどね。。」

そんな一言に理事長先生のこれまでの苦労が凝縮されています。

前回、自分の仕事を通じていい影響を社会や「誰か」に与えられていることを実感できた例を綴りました。でも、この例が「悪い」例かどうかは分かりません。もし買収されないまま、テコ入れされないままだったら病院が潰れていたかもしれません。

それでも、この案件は私にモヤモヤを残したことは事実です。

どうすれば良かったのか。今でも答えが出ないままです。

読んでいただきありがとうございました。

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