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初めて買った114番のリップの話をしてもいい?

今日、生まれてはじめてCHANELのリップを買った。ずっと欲しかったルージュココの114番を。
私はこの一本を20歳になったら買うと前から決めていた。そのためにバイトの給料も貯めてきた。

今週はこの日のために大学の課題だって頑張れた。嫌なことがあっても、リップを買う自分を想像したら乗り越えられたような気がした。そんなことを思い出しながら、いざ、鮮やかな赤いリップが陳列するコーナーへ向かった。

ずっと欲しかった114番を

12月の百貨店は沢山の人でにぎわっている。1階の化粧品売り場も甘い匂いとクリスマスシーズンに向けた華やかな雰囲気が漂い、混ざり合っている。人ごみをかき分けながら、ひときわ輝いていたお店の前へたどり着いた。

あの、成人式の振袖に見合うような赤いリップが欲しいんですが、と美容部員さんに声を掛けると、こちらです、と言ってすぐに案内して貰えた。
来週に控えている成人式でも使えるような、そんなリップを選ぼうと思っていた。着物に似合うのが欲しくて、と伝えると店員さんはこころよく様々なリップを手の甲につけ、試してくれた。
こうして見ると、同じ赤色でも全然違う色だ。オレンジに近い赤、ピンク、コーラル、ラベンダー...。スルスルと手の甲に塗られていくカラーは、本当にどれも綺麗だった。少しキラキラしていて光に反射するのがまた、私の心を一層キュンキュンさせた。

どの色も本当に綺麗だったから、どの色にしようか本当に悩んだ。
うーん、うーん、と随分悩んだ末、ルージュココの114番に決めた。これだけ時間をかけて迷ったのは、実際に見てみたら他の色も捨てがたくなってしまったからだった。だけど、最終的に決めたのは、114番だった。
これにします、と言ってついに購入を決め、私はお店を後にした。

私の大切な一本

一秒でも早くその口紅を試したかったから、足早に家へと向かった。ずっと欲しかったCHANELのリップ。どんな色なんだろう、これを塗ったとき、私はどんな表情になるんだろう、そんなことを考えていた。

家に帰ってすぐ鏡の前へ行き、実際に口紅をつけてみる。
付けた瞬間、恐る恐る鏡をのぞいてみると、正直、驚いて笑ってしまった。それが、私のすごく好きな色だったからだ。ラベンダーに近い赤色だけれど、可愛い感じもあって、キラキラしているのがたまらない。テスターが使えない今の時代、自分の顔に似合うかが重要だけれど、今日のアイシャドウのピンク色と重なって調和がとれているように思えた。

そしてさらに、私はなぜかふいに泣きそうになってしまった。馬鹿みたいだけど、ずっと欲しかったものを手に入れて、それが叶った瞬間だった。

高校生の頃、仲の良かった友達に、成人式になったら絶対にCHANELの口紅を買うんだと話したことがある。自分がこれだ!って思う1本を、自分の働いたお金で買う。これが高校生の頃の私の小さな夢だった。そんなことを心のどこかでずっと思っていたのだが、それがついに叶った。

叶ってしまうのはあっけなく、だけど心は満たされていて、しばらくの間幸福感に浸った。高価なモノや流行りのモノをを手に入れたときの幸せは長続きしないけれど、それを買ったという1つの体験はずっと心の中に残るのだと思う。背伸びをしていた頃の夢が叶ったから、次の小さな夢を作ると決めた。

ちなみにルージュココの114番は”GLOW”という名前が付けられている。私は、この色に見合うような私になりたい。

おわり

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