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2018年8月 高橋あず美 / ひとり言

 SNSで誰かがシェアしていた動画が目に止まって、見てみたらとんでもないシンガーだったーーー。なんて、ものすごい現代的な出会いだし、文明の利器のポジティブな面だなぁと思う。6月の上旬にそんな現代的で衝撃的な出会い方をしてしまった。Twitterをパーっと見ていた際にある動画が流れて来た。その動画に収められていたのは小柄な日本人女性(身長147cmだそうです)が、ニューヨークの地下鉄構内で、Beyonceの名曲『Listen』を歌っている様子だった。足を止めている黒人の方が驚きと喜びの叫び声を上げている様子も収められていた。歌っていた女性の名前は高橋あず美というシンガーソングライターで、あの小さな体のどこからあんなにパワーのある声が出てくるんだ!と思うくらいその歌声に涙腺がやられてしまった。

 そのツイッター動画は約1ヶ月ほどで60万回再生/1.6万いいね/4400RTというバズりっぷりで、やはりその歌唱は多くの人の胸を打ったんだという確たる証拠である。これに撃ち抜かれてしまった私は先日彼女のライブに足を運んだのだが、そのMCの中で『あの瞬間何かが変わった』と彼女が言っていたように、あの動画はきっと彼女のシンガーとしての覚醒の瞬間だったのだろう。その奇跡的な瞬間が記録してあった、という事が自分の事のように喜ばしい。

 最新のオリジナルアルバム『ひとり言』を購入し聴いてみたのだが、動画を見た時とはまた別の衝撃で、こんなにも幅広いジャンルの音楽(ポップス/R&B/バラード/カントリーなどなど)を歌い上げるスキルに驚いた。多くの一流アーティストのバックコーラスを担当してきたとの事で、そこでいろんな楽曲への対応力を身につけたのであろう。個人的に一番好きだった曲は、こちらも個人的に非常に好きなCRCK/LCKSとの『ながいよる』で、歌の譜割りがバンドのリズムとシンクロする所のグルーヴ感とか本当にたまりませんでした。

 きっと彼女はゴリッゴリのR&BもできるだろうしPOPSもできるだろうし、こんなに幅広く歌い上げる人だからこそ、それぞれに振り切った音源も聴いてみたい、という密かな願いはここに秘めて、今後の彼女に期待したい。

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