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2017年6月 TOTORRO / COME TO MEXiCO

 所謂、マスロックやポストロック、ましてやハードコアなどの音楽が、喜怒哀楽の‘喜’と‘楽’の要素を兼ね備えている事はかなり稀だ。ちなみに、喜楽とかいうと中華料理屋っぽい。それはどうでもいいが、どちらかと言えば、ハードコアからは怒りや哀しみを感じるし、マスロックにしてみればストイック、もしくは無感情という方が合っているだろう。今回紹介させてもらうTOTORROは、その稀な事をさらりとやってしまっている。誤解を恐れずに大袈裟に言えば、ポストロックやハードコアの手法を借りて、彼らなりのポップを表現しているんじゃないか、とまで思ってしまう。

 私が何かの動画をYOUTUBEで見ていた時に、たまたま関連動画として彼らのリハーサル動画を観たのが最初の出会いだった(←THE現代的リスナー)。そこには、白人男性4人が熱っぽく技巧派な演奏をしているのだが、その雰囲気が明るかった。バカみたいな感想になってしまって少々恥ずかしくもあるが、もうそのまんまの印象だった。ストップアンドゴー/変拍子/疾走感//轟音/パワーヒットなドラム、、、それらが全て明るいベールを纏って、こちらに飛んできた。すごくワクワクした。

 調べてみると、彼らは初期の頃こそ、激情系ハードコア的な音作りをしていたそうだが、今となっては、もうこれで行く、と宣言せんばかりに楽しそうに激しく変則的で明るいバンドサウンドを奏でている。このジャンルはかくあるべき、というくだらない観念に囚われていては、真の新しい音楽など出て来ない。彼らのサウンドが、ダンスミュージックが隆盛を誇るこの時代の音楽の中で、バンドサウンドの真の魅力を広く世界に伝えてくれる事を期待している。

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