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2020年1月 Furui Riho / Floating feat.K-over

 やっぱり出会う時は出会うもので、必死こいて新しいもの探したりしても、それはまあ現れてくれない事の方が多い。よく行くライブハウスのスケジュールを見ていた時に、今となってはどうして目に止まったのか覚えていないのだけれど、Furui Rihoというシンガーソングライターの事を見て、色々と音源を掘り下げてみたらいい曲が多くて、早速そのライブハウスにライブを観に行ってみた。

 ライブを観てて驚いたのは、歌が少し語りになる部分と通常の歌唱部分が不自然になる事なくスムーズに自由自在に(これは練習の賜物なのだろう)行き来ができて、所謂ラッパーで言うところのフローもオリジナルなものがしっかりあった。また、歌の上手い人が時折陥ってしまう"技術を気にし過ぎてエモーション不足"には全くならずに、本当にエモーショナルに歌い上げるし、気怠いところは気怠く、明るいところは明るく、表情豊かに歌っていて思わず観入ってしまった。

 ライブを観に行く前にYoutubeで聴いていた「嫌い」という曲がとても好きで、それも演奏されていたのだけれど、曲前のMCで自身のコンプレックスについて書いた、というようなことを言っていたと思うが、まさにそういった事がテーマであることがエモーショナルにさせているのか、とても感情的な歌唱でグッときた。そもそも彼女のルーツはゴスペルらしく、ゴスペルのルーツは迫害されていたアフリカ系アメリカ人達の悲しみや苦しみの発露だったわけで、そう考えれば彼女の歌唱がエモーショナルになるのもうなずける。

 そして12月4日に配信リリースされたFurui Rihoの新曲「Floating feat.k-over」は、ビートがキレッキレでパート毎の緩急の使い分けも良く、ビートに漂う浮遊感の中で"君"との別れを受け入れようともがいている主人公の心の揺れを見事に描いており、丹念に作り込まれた一曲である事が手にとるようにわかる。今後の彼女の動きに本当に目が離せないし、「嫌い」のリリースも是非お願いしたい。

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