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2018年3月 Justin Timberlake / Man Of The Woods

 最初に結論から言ってしまうが、ダンスミュージックとカントリーミュージックを、これだけ美しく混ざり合わせているのは見事である。ちなみに、本作『Man Of The Woods』は、2013年の3月/10月にそれぞれリリースされた連作『20/20~』から約5年の時を経て発表された、Justin Timberlakeの5thアルバムである。

 まず驚いたのは直近3作ではジャスティンが全てスーツ?タキシード?を着て写っていたジャケット写真が、本作ではスーツを脱いでいる。正確に言えばジャケットを羽織っている写真と、ネルシャツにジーンズを着ている写真の半々の彼が写っている。しかもヒゲ面に坊主(でも男前)。この時点でまず『あ、なんか前作の路線と違いそう』と勘の良いリスナーは気付いてしまうだろう。

 肝心の音に話を移すと、バキバキのダンスミュージック(このPVのジャスティンの服装が最高)に始まり、2曲目はファンキーサウンド。そんな序盤まではまだ『ほうほう、そういう感じね』と高みからモノが言えた(何様だ)。盟友TimbalandとPharrell Williamsがプロデューサーとして参加してるだあって、ダンストラックとファンクサウンド、R&B、ゴスペル風などなど多種多様である。その全てを横断して、しかも完璧に乗りこなしている。

 がしかし、趣が変わってくるのはちょうどアルバム中盤のAlicia Keysとのfeat曲『Morning Light』や、その次の『Say Something』辺りからである。ほぼダンスミュージック的要素ゼロ。アコースティックサウンドである。調べてみたら、ジャスティンはテネシー州(州都ナッシュビルはカントリーのメッカ)出身で、なるほど彼の根底にはカントリーが流れているではないか、と気付いた。

 本作のジャケットよろしく、彼はダンスミュージックとカントリーミュージック両方の要素を体内に持っていて、本作はそれがスムーズに出たのであり、原点に回帰しつつ、それがこれまで培ってきたサウンドと美しく混ざりあった結果がこの1枚なのであった。

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