2020年2月 Endless Melancholy / Fragments of Scattered Whispers
「いつだってこの人がプッシュする人は間違いがない!」っていう人いません?私にとってのそれはラッパーのSEEDAなんです。昔からSEEDAのブログをずっと読んでいて、名前の知らないラッパーが出てきて、その人の曲を聴いてみると本当にかっこいい。いつだってそうだった。まだ音源をリリースしていない頃のSALUや、SUSHIBOYSのFARMHOUSEなど枚挙に暇がない。そもそもSEEDAはDJ ISSOと2人で『CONCRETE GREEN』というコンピシリーズを制作し、その中から現在の日本のヒップホップシーンを支えている実力派のラッパー達の音源を世に放ってきた。SEEDAは本当に先見の明があると思っているし、そういう音楽的メンター(?)を見つけられるとリスナーライフがすごく豊かになる。
そんなSEEDAの名盤『花と雨』が原案となって制作された同名の映画『花と雨』(公開中)のスコア音楽を提供(とSEEDAが言っていた)したEndless Melancholyというウクライナのピアニスト/作曲家を、SEEDAが自身のツイッターで紹介していて、当然のことながら聴いてみるのだけれど、これまためちゃくちゃ良い。フィールドレコーディングのような薄い雑音が終始鳴り響く中、儚いピアノの単音やシンセの神聖な和音がその上を漂うように鳴る。それがもう美しくて悲しくて優しくて儚くて、SEEDAの楽曲『花と雨』が纏う空気感に似たものを感じた。だからこそSEEDAはツイッターで「この人の音楽を聴いた時に泣きました」とまで言うのだろう。
SEEDAの話ばかりしてEndless Melancholyの話をしていなかったです…、すいません。いわゆるピアノ・アンビエントというか、ポスト・クラシカルというべきか、そうした音源をこのアルバムまでに5作品リリースしており、本作に至るまでは徐々にアンビエント寄りになっていましたが、この作品でクラシカルとアンビエントがバランス良く同居していて、ある種の到達点になった一枚なのではないでしょうか。豆知識で締めますが、ジャケットデザインはBon Iverの名作『Bon Iver』のジャケットを手掛けたGregory Euclideによるものです。
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