Bleached shade
その目に映るものを知りたい。
あなたの世界にわたしを容れて。
この目に映るものを見せたい。
わたしの世界をあなたにあげる。
何度だって。
生まれ変わって。
アバターの向こう側。
あなたは死にたがっていた。
今度だって。
死に損なって。
モニターのこちら側。
わたしは生きたがっている。
巡回していたアカウント。
いつの間にか消えている。
なんて容易いリストカット。
いつの日にか会えますか。
繊細にして大胆な。
あなたの息遣いを覚えている。
真名も知らない。
容貌も見えない。
雨水の沈丁花のように。
そばを通りかかるだけで気づく。
ただ足跡を辿り。
残香にほろ酔い。
いつもホワイトノイズに隠れた幻の声が聞こえる。
「ぼくに解体を、あのね、別にいいんだ、どこ、なぜ、放蕩を、嫌い、自分の、また死んだかもしれません、まだ、千変万化、奏でたい、ヒトはヒト、ぼくは、遠く更地を見渡す」
わたしのいない時空で。
堕ちたがるあなたを。
わたしとちがう次元で。
もがいてるあなたを。
気になって。
理解した気になって。
気に入って。
あれこれ好きに言って。
だからわたしは口を閉じた。
傷つきたくもつけたくもないから。
そしてあなたは眠りについた。
白羽を休めて夜空の底まで。
放課後のシェイプシフターと紡いだ日記は灰になる。
「別離はとこしえ、ほらね、間違えないで、ひと、もの、躁鬱の、首を、一縷の、これだけは残しておきます、また、未到達を、響かせて、ソラでもいい、ぼくは、光の夏を生きて」
わたしの想うあなたを。
あなたが望むべくもないけど。
あなたの願うわたしに。
わたしが至ることもないけど。
いつか見つけたそのときには。
また初めから分かち合いたいんだ。
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