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When I was a stranger

わたしが部外者だった頃、
世の中の人々が信じていたものは、
曖昧な熱病として、
真実らしく書きつけ、
水蒸気に癒せるものは何もなく、
本物の耐え難さ、
傷ついた憂鬱、
単なる破壊こそが、
指折り数えるに値した。

疑わしくも、
寂しがることを保留するしかない、
それは定着した気性と、
最も大切な隠しごと、
裸足で踏みつけた色硝子を、
どうにかなる距離でどうにかするのが、
百の物語を通して、
たった一つの意思表示だった。

待つつもりがない、
臨場感のある別れ話、
裏切り者と呼ばれても、
寄り添って歩くのに必要なことは、
間違いのない振舞い、
色褪せる瞬間に折り合い、
生絹の包みの、
端からほどいていく、
作り話は罪のない悪夢に溶いた。

文化的で、
死にはしない程度の、
はしたなく開いた口から、
舐めた飴色の塗料、
ひと掬いの気だるさ、
流れる花びらの香りと、
頬を撫でられた追想だけが、
無関心の支配下、
形は変えられるけれど、
切り離せない投影に、
虹色の深海魚を模写した。

水銀燈を上げて、
使い回しの薄幸に、
少しずつ奪う、
悟られずに剥ぐ、
あたりまえに感じられていた、
比して過剰な遠心力、
持ち込まれたがらくたの、
確からしさともっともらしさを斫り、
人の波をかわしていく、
今となれば、
遂に本懐、
わたしは頸に手をかける。

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