世界で最初に飢えるのは日本 食の安全保障をどう守るか_20230501
タイトルがなかなか衝撃的な新書。
元農水省のお役人さんで、その後学界に転じて東大教授を現職とする著者の鈴木氏が、日本の農政失敗や多国籍企業による侵食などを取り上げて、国内回帰の重要性を説くという流れです。
食料自給率37%と言う数字はなんとなく認識してましたが、種や飼料の海外依存度を考慮すれば10%くらいに落ち込むというのは結構な衝撃度です。
こうなった原因が、日本政府の工業重視、農業軽視の政策の賜物や、アメリカによる農作物世界戦略の結果であると筆者は解説しています。
後半になると食の安全という点で農薬やゲノム編集、遺伝子組み換えといった技術進歩がもたらす弊害や企業の利益優先姿勢の危険性を訴えています。
読後感としては「ヤバい、アメ公からトマホーク買ってないで他にやることあるんちゃう?」という感じですが、著者である鈴木氏のポジショントークという側面も否めないので、ネットでググったら、反論系のサイトもあったのであげておきます。
こちらを斜め読みした感想は、確かに氏は大袈裟な表現や数値の誇張で不安を煽ってる感はあるが、そこまで真っ赤な嘘も言ってはいないので内容8割くらいで読んでおけばいいかということでした。
少なくとも、人が生きるためには空気と水、そして食べ物が必要なことは間違いなく、それを国内で賄いきれないとなると非常に困るので、国家戦略として安全保障上の理由から農業や畜産業という一次産業はしっかり保護する必要はあって、米減反したら補助金だすとかいう間違った施策はしないで欲しいなと強く思いますね。
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