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僕たちはまだインフレのことを何も知らない_20240705

タイトルと装丁に完全に騙されて手に取ったこの本、難解というより興味を惹かれない書き振りによって誘発される眠気と戦いながら何とか読了。

まず、タイトルが誇張されすぎですね。
原著のタイトルの正しい訳は「インフレについて話そう、過去2000年からの14の差し迫った教訓」であり、「君たちはどう生きるか」的なインフレ対応指南ではありません。
また、インフレの歴史ひもといてはいますがそれは一章分にすぎず、メインは第二次大戦後、特に1970年代以降の事象の検証にあてられている感じです。

いま起きてるインフレ状態についてざっくり理解したければ、最後の第7章だけ読めば良いかと。

前に何かで読んだ内容と被りますが、結局のところインフレのメカニズムなどという確立されたものはなく、パンデミックなどの外的要因に誘発される人々の不安とそれに乗じた相場師の暗躍、それをコントロールしようと発する中央銀行の言葉の重み(信用性)の軽重というひどく人間臭いものでしかないということかと。

そして、過剰なインフレ進行の局面では政治的介入を許さざるを得ず、中央銀行の独立性などは幻想にすぎないことが歴史が示していることを改めて認識させられます。

さてさて、物価高に賃上げが追いつかずインフレが加熱気味のわが国はどうするのか、中央銀行が弱腰のまま海外の投機筋にカモられている現状を放置して政治的介入を許すのか、正しい答えなどない藪道が続きますね…

どーでもいいけど、著者がスティーブン・キングって…間にDが入るけど(笑)

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