見出し画像

人類と気候の10万年史_20240131

前に何かの記事で紹介されていて、昨年一度借りて読みだすも途中でギブアップしてしまった新書をやっとこ読了しました。

昨今の温暖化に起因する異常気象は様々な被害を世界的に引き起こしていますが、人類史以前の気候変動を10万年単位でみたとき、そこには現代の温暖化なんか可愛いくらい激しく気候が変動していたそうな。
と、いうことを有史以前の気候変動について研究する「古気候学」や「地質年代学」を専攻する著者が教えてくれます。

でもって、なぜそんな大昔の気候のことが分かるのかというと、湖の底などにたまった堆積物によってできた年輪のような縞模様である「年縞」を1年刻みで記録し、その中に含まれる花粉の化石などを分析調査してくという気の遠くなるような作業を繰り返すことで過去の年代の気候が推定できるのだそうで、世界各地にある「年縞」の中で、福井県三方五湖の水月湖に堆積する「年縞」が現在の世界標準となっているとのこと。

そして、過去80万年の気候変動を見ると氷期と温暖期は10万年ごとにリズミカルに繰り返していて、現代というか人類が歴史を重ねてきた有史は比較的安定した時期であり、本来であれば温暖期が終わって氷期に向かう過程であるならば、寒冷化を人間の活動が遅らせている可能性があり、それこそが「地球温暖化」と言われるものの正体であるという分析には、へぇ~ボタンを押しまくりたくなります。

これくらい大きいスケールで地球の気候変動の流れを捉えたときには、僕ら人類のチンケな尺度で地球温暖化問題を語ることやその善悪を決めつけることが、いかに無意味な行為かを痛感させられます。
もちろん、だからといって野放図に温室効果ガスなどをまき散らしていいわけではないのですが、地球の経験してきた壮大な気候変動の前では諦観しかないのではないかなぁと思いつつも、人間の適用力や多様性に期待を込めて書を締めくくっている著者に研究者としての矜持を見た思いです。

水月湖、いつか行ってみたいですね。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?