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幽玄F_20240210

新聞の書評欄で気になった本を読了しました。
本作の作者である佐藤究氏は、2021年に出版した前作「テスカトリポカ」で直木賞と山本周五郎賞をW受賞されたそうです。

受賞後の第一作となる本作は、「日本の戦後精神の支柱三島由紀夫に挑んだ」と帯に書かれていますが、三島由紀夫と聞いても市谷駐屯地でクーデターを呼びかけ割腹自殺した血気盛んな人というイメージしかなく、さらに言えばその著作も「金閣寺」くらいしか知らず、そして読んでもいないという自分には、どこをどう挑んでいるのかさっぱりわからなかったので、読者失格な気がします・・・

ということで、三島うんぬんは抜きにして、空と戦闘機に憑りつかれた主人公が日本・タイ・バングラディシュと渡り歩き壮絶な最期を遂げる生涯をつづった作品ということで、戦闘機の描写をそこまでミリタリーオタク的ではない視点で書いていたり、仏教的視点を絡めて主人公の心理の深淵を垣間見せようとしたりと、読んでいてともすれば苦痛になってしまいそうな要素もエンタメ的に捉えられて一気に読める作品でした。

一方で、正直な話、疾走感や虚無感のような肌感覚の読後感はあるのですが、言語化できるような感想を持ちえなかったのは、ひとえに作者の意図や取り組みを共有する前提がないことが原因と思われます。

よって、三島文学を「NHK 100分de名著」あたりで一度ざっくり学んで分かった気になってから再読すべきなのかもしれません・・・

ということで、直木賞受賞作の「テスカトリポカ」を今度は読んでみようと思います。

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