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何が投票率を高めるのか_20230823

ストレートなタイトルに惹かれて読んでみました。
大学のゼミから数えて20年以上にわたって選挙への投票参加について研究してきた阪大教授の著者が、投票率と各種選挙環境との相関関係をデータをもとに検証しつつ、投票率の向上のためには何が求められるのかの問題提起をした本書。
言うなれば、著者のライフワークをわかりやすくまとめて提示した感じです。

切り口は、投票所の場所・天気・啓発活動・議員定数(地方vs都市)・新政党の存在・議員属性など様々でしたが、世の中で言われている話以上の結果は出ておらず、データである程度裏付けられたね、という感じです。

投票にかかるコストとベネフィットという観点で各要素をとらえているのは的確かと思うのですが、結局のところ政治にしろ政策にしろ「自分事」になってないから無責任になってるわけで、その自分事として捉えるためには家庭や学校などで政治の話がタブーだったりする妙な環境を変えること=主権者教育がスタートなんではないかと思う次第です。

それもやらんと環境変数だけで投票率を捉えてるから、それを上げることだけが目的化した施策が出てきたりするのが今の姿かと。

左だろうと右だろうと中道だろうと、若者だろうと高齢者だろうと、男だろうと女だろうと性的マイノリティだろうと、経営者だろうと労働者だろうと、自分たちが置かれた現状を客観視して、どうすればその現状が改善されるのか、そのために用意されている自分の一票をどう使うのかを真剣に考えられる国民になるための努力を国をあげてしなければ、為政者や権力者に都合よく扱われてしまうんだよということを一人一人が理解しないといけないですね。

当たり前の話なんですけど…

今回得た新しい知見としては、新政党の存在の章で、公明党が1967年から参入してるというのを知って、意外に歴史が浅いことを知りました。
陰りはあるとはいえ、今でも宗教を母体とした強力な集票マシーンは当時の政治にもインパクトを与え、現在まで続いてる自公連立でもなんだかんだで要なんだなぁと。
だからこそ、平和の党を掲げながら宗旨替えしたみたいな容認姿勢を取ることによる内的矛盾を生み出して、党勢の陰りにつながってきてるのかもしれませんね。

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