WSMR-1: TikTokが研究者用のAPI公開を発表

ソーシャルメディアニュース

TikTokが研究者用のAPI公開を発表

今回のAPI公開は透明性の強化とモデレーションを含む説明責任を果たす取り組みの一環とのことです。TikTokは中国との関係性から、米国でサービス運営に厳しい目を向けられており、今回のような透明性向上の取り組みは、その懸念を払拭するために重要な打ち手になると思われます。取得可能データは動画の字幕などを含むコンテンツ情報、Likeなどのメトリクス、ユーザ情報など、多くの研究に使えそうな情報が公開される模様です。

現在は米国の非営利研究機関のみへの公開を予定しているそうですが、今後米国以外にも開放されるかもしれません(米国でのAPI申請はすでに募集されています)。しかし、そのAPIの使用規約は厳しいもので(15日間でのデータ更新、研究成果に関する権利のTikTokへの譲渡、IRBの提出など)、実際に使いものになるのかまだわからないようです。とはいえ、最近Twitter APIへの制限がかかり始めていることもあり、TikTokのAPI公開には研究者界隈からの期待が大きいものとなりそうです。
TwitterのAPI変更については、まだ方針が定まりきっていないようです。

その他参考資料
https://techcrunch.com/2023/02/21/tiktok-expands-its-research-api-to-nonprofit-academic-institutions-in-the-u-s/
https://techpolicy.press/tiktoks-api-guidelines-are-a-minefield-for-researchers/
https://twitter.com/TwitterDev/status/1626732269174943745

Metaによる敵対的脅威レポートが公開されました

ロシア発のウクライナ戦争に関する影響活動の総量は増加しています。しかし、ロシア国営メディアによる公然の試みはFacebook上では減少しており、他のソーシャルメディアなどに活動を移行し、Facebookのモデレーション(アカウントの停止や投稿の削除)から逃れようとしている模様です。

他にもセルビア、キューバ、ボリビアでの影響工作についてがまとめられています。個人的には影響工作の戦術の記述が興味深いです。やはりCIB(Coordinated Inauthentic Behavior: 協調的不審行動)は議論の中心になるのだなと感じました。他にも大量報告(または協調的悪用報告)や大量に低品質なキャンペーンを総力戦に実施するといったなどの「スマッシュアンドグラブ」アプローチなどが紹介されており、勉強になります。

これまではTwitterも同様のレポートを公開していたようですが、もう公開をしていないようです(イーロン・マスクの影響かもしれません)。https://twitter.com/noUpside/status/1628762168438009857

Oxford Internet Instituteからソーシャルデータサイエンスに関するレクチャーの動画が公開

この動画ではソーシャルデータサイエンスを「世界をどのように測定し構造化するかについての学問」という側面から解説するなど、改めて社会学やデータサイエンスとはなにかという観点を捉え直そうとしています。

最近は一橋のソーシャルデータサイエンス学部の学部前期入試の倍率が6倍になったことも話題にあがっているなど、この分野は注目を集めています。ソーシャルデータサイエンスに興味のある方は視聴してみると良いかもしれません。
https://www.yomiuri.co.jp/kyoiku/kyoiku/news/20230225-OYT1T50150

IC2S2の締め切り延長

3月3日までとのことです。投稿予定の方には余裕ができたかもしれません。行きましょうコペンハーゲン。

2月20,21日で第2回計算社会科学会大会(CSSJ2023)が開催

原稿が(希望されたもののみ)公開され、3件の大会優秀賞も発表されました。

TheWebConf2023(と併催のWebSci'22)が4月30日に開催

続々とPreprintが発表されており、要注目です。
個人的にはWebSciだけでなくTheWebConfも今回は計算社会学系の論文が多いような気がします。https://twitter.com/JieHealthAI/status/1628957381538516993
https://twitter.com/frapi9/status/1620798783956324352

6月上旬に開かれるICWSMのワークショップが発表

ざっと、社会変化、画像、誤情報、ウェルビーイング、テキスト分類、計算ジャーナリズムといったテーマとなっているようです。


気になったソーシャルメディア論文

Twitter上のCOVID-19ワクチン誤報を1年に渡って分析。

1年を通じて、ワクチンに関する信頼性の低いニュースの普及率は上昇しており、特に800人のスーパースプレッダーが全体の35%の誤報を広めていることを明らかにしました。このようなスーパースプレッダーは誤報の拡散から金銭的インセンティブを得ていることを懸念されており、彼らに対してのモデレーションの取り組みは今後重要性を増していきそうです。
https://twitter.com/CaulfieldTim/status/1629175095553036288

ソーシャルメディア上での大麻推進メッセージは、大麻の利用の増加に関連している。

アメリカでは一部の州で大麻が合法となっていますが、有害の側面もあることから利用には注意が必要です。ワシントン州在住の10代に対し大麻利用のメッセージと大麻利用について調査したところ、SNS上の大麻推進のメッセージは大麻利用に相関があるそうです。同時に、反大麻のメッセージは大麻利用に否定的な気持ちを引き起こすようです。今後の大麻利用の政策において重要な結果となっています。

匿名性のSNSではユーザはより非礼な発言が増えていくそうです。

この研究では、7つのプラットフォームで無礼な発言に違いがあるのかを調査しました。その結果、匿名的なソーシャルメディアや、ネットワーク関係が作成されるソーシャルメディアで非礼な発言が起こりやすいことが分かったようです。

現実のイベント(選挙や抗議活動)などが(一見関係のない)ソーシャルメディアのヘイトスピーチを増加させる。



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