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SS あんパン大好き娘は私を拉致してどうするつもり? 【#ボケ学会のお題】

 長いスカートのクラスメイトは、右手のこぶしにスカーフを巻き付けて、左手のアンパンを食いちぎる。

甜芽あまめ、あんたは黙ってそこに座ってな」
りつ、もうやめて」

 ゆっくりとリョウスケが歩いてくる、決闘の時間だ!

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 りつは、パン屋さんの長女でアンパンが好きな女の子、店で売れないふぞろいのパンをくれた。

「アンパンは最高よ」
「おいしいよね」

 アンパンの生地がふんわりしながらも、しっとりもちもちした食感は焼き上がりでないと味わえない。それがおいしくて一緒に遊んでた。(食いしん坊か!)

 りつは、子供の頃はおとなしい子で男子のクラスメイトを怖がり私の後ろに隠れるような娘だったのに、中学にあがるとリョウスケと一緒で背がのびると教師なみに大きく育った。体が大きくなると全能感があるのか、わがままになる。

「なんで給食にアンパンでねぇんだよ」

 無茶な要求でクラスで暴れたこともある。きっと食パンはおいしくなかったのね、りつはグレた。その日は夏休みの公園でアンパンを片手にむしゃむしゃしているりつと出会う。

甜芽あまめ、最近はリョウスケつるんでるのか?」
「映画を見てるだけだよ」
「あんな男はダメだ」
「別にそこまで否定しなくても」

 険悪な眼で私をにらむりつは、恋をしている眼だ。

(リョウスケが好きなのかな?)

「別に私も好きじゃないよ」
「なら別れなよ」
「……そこまで嫌いじゃないから」
「いいから別れな」

 強引なりつが私の手首をつかむと、私に顔を近づけた、血走った目は本気だ。

「わかったから、別れるから」
「……嘘だな、よしこれから決着をつけてやる」
「え?」
「携帯を貸しな」

 二つ折りの携帯を奪い取ると、リョウスケに電話する。

甜芽あまめを、あずかった公園まで走ってこい」

 ぶつんと携帯を切ると私をじっとにらみつけている。

(これは嫉妬? りつがリョウスケとつきあいたいのね)

 不器用な娘だ、リョウスケが来たら彼女にゆずろうと思う。

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「俺の女を拉致するとか、いい度胸だな!」
「……お前は絶対に許さん!」

 リョウスケの一言がりつの恋心を傷つけた。りつのうなりをあげるパンチがリョウスケのほほにめりこんだ。

「そんなパンチ、俺には効かない……」

 腹、胸、顔、頭、まるで北斗の拳のように無数の残像でパンチが見えない。ボコられたリョウスケが崩れ落ちる。あわてて私は止める。

りつ、好きな男子をそこまで殴らなくても」
「私が好きなのは、お前だ!」

 ぐっと抱きしめられるとりつの巨乳で窒息しそうになる。

「ぐ……ぐるじい」
「ごめん、ごめんね甜芽あまめ

 道理で別れさせたいわけだ、リョウスケが邪魔なだけだった……

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 夏休み中はずっと四人で遊んだ。リョウスケ、陸人りくとりつと仲良くみんなで宿題を忘れた。夏休みの最終日はパンを食べながら徹夜でした。一生の友達です!

#ボケ学会
#ボケ小説
#夏休み
#アンパン


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