SS 立法権の思い出 #毎週ショートショートnoteの応募用
「立法権の思い出かぁ」
抗議をしながら彼女が周囲を呆然と見ている。立法権を持つ機関が法律を改定する。もう手遅れに見えた。
「自由に暮らして何が悪い」
「好きな事をさせろ」
「楽しく生きたい」
国民は幸福を願う。悪い事では無い。幸福を与えよう。ルールを変更すれば良い。
「人は個人を重要視します、個人を極限まで幸せにすれば良い」
「子を産む幸せは、動物の本能であり古い価値観です。動物と同じ事をするならば、人の存在意味はありません」
退化法が決まる。
人は進化を続ける種族と退化を選ぶ種族で分離された。進化する種族は、電子の世界に自分のデータを投入して終わる。無限の再生を繰り返す。幸せの記憶だけを永遠に繰り返す。
退化を選ぶ種族は、動物に戻る。前頭葉を発達させない。ルールを決めずに自然に生きる。生き死も自然に任せた。
人工知能に立法権を任せると法律が変わる。人類の幸せのために人類を排除した。立方体が嬉しそうに光る。この幸せを宇宙に広げよう。
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