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SS 初めての鬼 #毎週ショートショートnoteの応募用

「お前が見習いの鬼か!」
鬼の様な上司が初めての鬼の俺を怒鳴る。俺は持ち場に案内された。罪人を責め立てる方法は無限にある。焼く、引き裂く、沈める、煮る。仕事は山のようだ。ただ長くやるとなんでもそうだが飽きる。ルーチンワークだ。罪人の方だって痛みがあるが同じ事に繰り返しでどう痛むのか判る。痛みなんてのは突然くるから怖いのであって、常に同じ事を繰り返されたら、それが日常になる。

「旦那 今日は煮ますか?焼きますか?」
いつもの親父が軽口を叩く。
「うーん 煮るかな?」
煮るだけなら見てるだけで良い。楽だ。
親父は自分から釜に入ると熱そうにしている。
「やっぱり痛いのか?」
「まぁ痛いですよ でも地獄の風で治りますからね」
罪人は粉みじんにしても、復活する。

「うわぁーぎゃああー助けてくれ」
どうやら罪人の新人が来たらしい。上司が嬉しそうに責めている。
「旦那は新人を責めないんですか?」
と親父が聞く
「俺は新人だからな、初めての罪人は古参の楽しみだよ」

地獄の釜02




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