SS 聴診器が海苔 #毎週ショートショートnoteの応募用
「聴診器が海苔、注射器がもずく」
男子はなんでツマラナイないギャグで気を引こうとするのか?
登下校の時に幼なじみの洋介は、頭の悪そうな話ばかりする。ふんふんと聞いてあげてるがボランティアだ。顔も性格も成績も人並みで、クラスでは地味な存在。
たまにギャグを言うが、ほぼすべる。聴診器が海苔ってなんだよと思う。ギャグのセンスが皆無だ!
「洋介あんた会社に入ったら親父ギャグ連発しそう」
「うっせいな! 佳奈」
怒った声を出すが、彼は私には優しい。
xxx
「どう? 」
「なにが? 」
クラスカーストの上位の男子が私に告白する、笑っちゃうくらいに直球だった。私はノリでつきあう事にする。休日にデートして、公園で良い雰囲気になる。
「お、佳奈だ、聴診器が海苔! 」
「洋介! 何してんのあんた! 」
ガチギレするとギャーギャーと喧嘩になる。その姿を見て彼とは別れた。
xxx
「ねぇ、聴診器が海苔って何? 」
結婚すると想像通りに親父ギャグを連発するおっさんになる。気心が知れた関係は楽だった。
「ん? あー? 昔お前の肌に海苔がついてたんだよ」
「へ? 」
洋介は私と秘密の遊びをした時に、おもちゃの聴診器を使った。見ると海苔がついている。お昼のおにぎりの海苔だ。
「いつかお前が気がつくかなと思って……」
洋介の後頭部を張り飛ばした後に笑った。