SS 優先席の微世界先生 #毎週ショートショートnoteの応募用
「3年B組、微世界先生!」
微世界先生は小さい。しかし誰よりも大きかった。
「人間ってのは、人と人が支え合うから人間なんだよ」
「微世界先生は、人じゃありませんが?」
教壇の上に水槽がある。そこには脳培養をしたマイクロ脳の微世界先生が浮かんでいた。赤ん坊の時に体が損傷して壊死したが、脳だけ取り出して活動している。
横柄で攻撃的な女の子がいれば
「立派な人になるより、友達になれる人になりなさい」
自分が不幸だと思う男の子がいれば
「幸せはどこかにあるわけじゃない、幸せと思う事だ」
喧嘩に負けた不良の番長がいれば
「勝敗は、自分が負けたと思わない心が大事」
みなが微世界先生のおおらかでたくましい言葉で癒やされた。
しかしいつか最終回は来る!
「微世界先生の脳が大きくなりはじめている、特別な施設に行くんだ」
「そんな、先生」
「先生、大好きです」
「俺は先生を超えてやるぜ」
不良の番長が男泣きをしていた。教室の皆が泣いている。きっと微世界先生も泣いている(目が無いけど)
今では量子コンピュウーターに接続された優先席の微世界先生が世界を管理している。きっとこの世界からテロや戦争を防いでくれるだろう。
#優先席の微世界先生
#毎週ショートショートnote
#SF
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