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SS 秋の空時計 #毎週ショートショートnoteの応募用

 雲に向かって腕を伸ばす、秋の空時計が光って見えた。少年はピカピカな時計が大好きだ。父親に買ってもらった時計を大事にしている。

「時間が計れる、なんて素敵な道具」

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「それが、この時計ですか?」
「壊れて動かないが、お守りだ」

 もう時間は計る必要が無い、試作のロケット戦闘機は地上から高速で駆け上がり、敵の爆撃機を破壊できる。前方の巨大な機関砲は、一発でも当たれば敵は爆散する。

「ご無事で」
 敬礼をして発進した。

 猛烈な反動で息ができない、ものの数分で敵が見えた。トリガーを引くが弾は出なかった。故障と判ると特攻に切り替える。

 腕時計を見る、秒針が動き出している。

「もう俺には残りの時間ないぞ」

 にこやかに笑いながら父母を思いだす。とたんに大きな爆発音がするとロケットエンジンが停止した、俺は敵を目の前で、急激に落下するコクピットから脱出する。

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 孫が不思議そうに壊れた時計を見る。
「おじいちゃん、この時計は動かないの?」
「俺を助けるために、一度だけ動いてくれたよ」
 今でもお守りだ。


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